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税務処理の基礎知識

サラリーマンが副業で節税対策?「赤字副業」は有効な方法なのか

所得税や住民税など、納税しなければならない税金額を少しでも安くしたいという気持ちは誰もが持っているもの。その中でも今回は「赤字副業」という手法について解説をしましょう。

サラリーマンは赤字副業で税金が安くなる?

サラリーマンには「所得税」「住民税」という、支払わなければいけない2つの税金があります。これらの税金が様々な公共サービスの費用にあてがわれており、結果として私たちが公共サービスの恩恵を受けたり、私たちの住む地域の環境が綺麗に保たれていたりするわけです。

たとえば年収400万円のサラリーマンの場合、年間の所得税はだいたい8.6万円、住民税は18万円ほどになります。年間にして27万円近くの税金がかかっているわけですが、こうした税金を少しでも減らすために比較的メジャーな手法が「赤字副業」です。

赤字副業とは、副業による収入に対して経費を赤字で計上することで、サラリーマンとしての課税対象となる収入と相殺して確定申告し、天引きされた税金を戻すという方法です。
たとえば、副業として自身で作成したアクセサリーをネット上で販売している、本業はサラリーマンの人がいたとします。副業のネット通販は趣味で行っているものなので微々たる利益です。

ただ、その経費として副業で使用するパーツ代や作業用のパソコン・通信費用、また作業部屋として自宅の家賃や光熱費の一部も必要経費として計上しています。つまり、副業で生まれた赤字を給与所得と相殺することで課税所得を減らしているのです。

税務署も目を光らせている

しかしこの「赤字副業」は、節税対策としてメジャーな手法として知られるようになった結果、税務署でも警戒されています。最近では友人との旅行や食事を「勉強会」という名目にして経費として申告する人も増えているそうです。こうした副業と関係のない費用が、どこまで経費として認められるかは税務署の判断に委ねられます。

また、副業で一切利益を出さず赤字が続いている場合、事業ではなく「個人の趣味」と判断されるケースもあります。さらには、その副業が中身を伴っていない節税のための副業で、悪質な税金対策だと判断されれば、税務署から”脱税”として告発されることもあるのです。

サラリーマンができる安心節税対策

もちろん営利目的で始めた副業が、上手く軌道に乗らず赤字になってしまうということはありますので、赤字経営の副業そのものが悪いというわけではありません。

しかし、さきほどお伝えし多様に節税目的で行う”中身の伴わない”「赤字副業」という手法は、税務署から脱税の指摘を受ける可能性があります。節税対策としてはおすすめできません。

こうした綱渡りの節税対策ではなく、安心してできる節税対策をご紹介しましょう。

① 2,000円で各地の名産品と交換できる「ふるさと納税」

話題になったこともあり、既に取り入れている人も多いのではないでしょうか。ふるさと納税は、自身が応援したいと思う自治体に寄付をすることで、寄付額から2,000円を引いた額が所得税もしくは住民税から控除される制度。寄付を受けた自治体からは、その地域の名産品が送られてくるため、節税だけでなく全国各地の名産品を楽しむこともできるのが魅力です。

② 仕事に関する経費が控除される「特定支出控除」

特定支出とは、給与所得者の支出のうち、その仕事に関係すると認められる支出を指します。たとえば通勤費や転居費、資格取得費などが対象です。特定支出の合計額が、その年の給与所得控除額の半分を超える場合に、超えた分の金額の所得金額から差し引くことができる制度があります。その制度を「特定支出控除」と呼びます。

実際には、特定支出控除を受けるためには、給与取得金額の半分という高額なハードルがあるため、この制度を活用できる例は限られていますが、対象であれば大きな節税となるでしょう。

③ 確定拠出年金「iDeCo」

「確定拠出年金」とは、定期預金や投資信託に毎月一定の金額を積み立てることで、60歳以降に年金もしくは一時金としてお金を受け取ることができる制度のことです。毎月積み立てる金額は全額が所得控除の対象となるため、その分納めなければならない税金の額が減ります。積み立てたお金は60歳以降でしか受け取ることができないというデメリットは存在しますが、月5,000円からの積み立てが可能です。最近では企業型の確定拠出年金を導入している企業も増えてきているため、非常にハードルの低い節税対策と言えます。


節税対策は一歩間違えれば税務署に”脱税”として判断されかねません。

間違えた手法で対策をとってしまう前に、一度お気軽に税理士事務所へご相談ください。