COLUMN

コラム

税務処理の基礎知識

税金が払えなかったときのペナルティ

地方税、法人税、消費税など、会社を経営していくうえで切っても切れない様々な税金。
これから起業しようとしている方や創業したての経営者様の中には、「どんな税金がかかるか」は知っていても「もし支払えなかったらどうなるのか?」については詳しくない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

また、創業当初はしっかりと帳簿をつけていた経営者様の中にも、経営が軌道に乗り仕事が忙しくなると、しっかりと帳簿を把握できていないという方も多くいらっしゃいます。
決算前のギリギリのタイミングで税金額を把握して税金が払えないということが急に発覚するかもしれません。

「税金を支払えないかも……」という”もしも”の時に備えて「税金が支払えなかったときのリスク」をしっかりと把握しておくことでその後の処理をスムーズに対応できるようにしていきましょう。

税金の滞納発生からペナルティまでの流れ

①税金の滞納
税金を納付期限までに納められなかった場合、1日でも超えていれば滞納となります。
滞納となった場合は、「延滞税」と呼ばれるペナルティが課せられます。

【主な税金の納付期限】
・法人税、地方税、消費税・・・決算から2か月以内
・源泉徴収税      ・・・原則毎月10日


②督促状
納付期限から1か月程度が経過すると税務署から督促状が届きます。
督促状とは税金が未納であることを通知する書面であり、差押えをする前に送られてきます。
督促状が送られてこない限りは差押えをされることはありませんが、逆に言えば督促状が送られてきた場合には税務署が差押えをする準備ができたと捉えたほうが良いでしょう。

③催促・調査
督促状が届くと、次に税務署の人から電話や訪問による催促が行われます。
それと同時に、税務署は納税者自身の情報や持っている財産などについての情報収集を始めます。

④差押え
何度かの催促をしても納税に応じなかった場合に差押えとなります。
とはいえ、必ずしもすべての財産が差し押さえられるわけではありません。生活をする上での最低限の財産は、国税徴収法により差し押さえることを禁止されています。これを「差押禁止財産」といいます。

【差押禁止財産】
1)生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
2)生活に必要な3か月間の食糧及び燃料
3)業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く)
4)実印など職業に欠くことができないもの
5)その他生活をする上で最低限の財産

延滞税はどれくらいかかるの?

定められた納付期限までに納税できなかった税金に対してかかる「延滞税」は、その滞納期間によって下記のように税率が変動します。

①納付期限の翌日から2ヶ月以内に納付した場合・・・年「7.3%」もしくは「特例基準割合+1%」のいずれか低い割合
②納付期限の翌日から2ヶ月以降に納付する場合・・・年「14.6%」もしくは「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合

“※特例基準割合とは、各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。”

(出典:国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/entaizei/keisan/entai_wariai.htm

滞納してしまう場合は早めの対応を

税金は滞納しないことが一番なのはもちろんですが、どうしても納入期限に間に合わない場合は税率が高くなる2ヶ月以降に持ち越さないようにしましょう。

気を付けなければいけないポイントは法人税、地方税、消費税は決算から2カ月以内とまとまっていますが、源泉徴収税は毎月コンスタントに支払いが発生する点です。

「ついつい支払い期限を過ぎてしまった」ということがないように注意が必要です。

税金の滞納はその後の処理が遅くなればなるほど、後々の被害が大きくなりますので迅速に解決することが重要になってきます。

少しでも心配だなと感じたら、一度専門家に相談することも検討してみてください。