税務処理の基礎知識

行き過ぎた節税は、会社をおびやかす火種になりかねません!

5_AdobeStock_102067550.jpeg税金の捉え方というのは様々です。「自分が頑張って稼いだお金なのに、どうして持っていかれなきゃいけないんだ!」という方もいれば、「みんなが税金をしっかり納めているからこそ自由な経済活動ができている!」という方もいると思います。

ただ、「喜んで税金を払います!」という経営者様はなかなかいませんよね。多かれ少なかれ、「税金は少ないに越したことはない」という考えを持っているはず。そこで出てくるのが、「節税」です。

税額を抑える事を指す「節税」という言葉。とても魅力的ですよね。しかし、とにかく節税をして、納税額を可能な限り抑えた方が良いのかと言われると、素直には頷けません。というのも、後先を考えない節税というのは、のちに会社の存続を脅かす火種となりかねないからです。今回の記事では、節税とはいったいどんなものなのか、どうして会社を脅かす火種になるのかといったところを解説していこうと思います。

節税をしたからと言って現金が残るとは限らない

その前にまず、節税とはどういうものか、ざっくりとみていきましょう。

大部分の税金は、利益に対してかかるものです。ですから、利益を限りなくゼロに近づけていけば、税金も同様に限りなくゼロに近づいていきます(ただし利益の有無にかかわらず発生する税金もあります)。こういった現状を踏まえて、現代の節税テクニックのほとんどはいかに利益を小さくしていくか、というところに主眼が置かれています。分かりやすい例で言うと、決算を迎える前に事業用の資産を購入したり、社員旅行を企画したりして支出を増やし、相対的に利益を減らしていく方法ですね。

ただ、ここで気を付けてほしいことがあります。それは、「結局お金が会社から出ていくのには変わりない」ということ。極端なことをいえば、実は節税というのは、

・税金としてお金を払うか

・社員や事業への投資としてお金を払うか

の2択のうち、後者のお金の使い方を選んだだけなのです。

それでも、この2択しかなければ「税金なんかで取られるよりは自分たちのために使った方が良い!」と言う経営者様の方が多いと思います。もちろん、それも一つの考え方でしょう。でも気を付けてください。節税、節税と息巻いているうちに、気づいたら事業用の手元資金がなくなってしまうかもしれませんよ。

税金と言っても利益の全額が持っていかれるわけではありません。ですから、税金を支払って余ったお金は、運転資金としてプールしておくことができます。しかし、利益の限界まで経費を使って税金を無くそうとすると、資金は永遠にたまりません。「毎年安定して利益を上げられているんだから、余剰資金なんて必要ない」と思う方もいるかもしれませんが、資金というのは尽きた時点で終わりです。主要取引先との取引停止、銀行からの融資がおりなくなる、など何があるかわかりません。危急の事態が起きても、当面は自前でしのげるくらいの資金はためておくようにしましょう。

短いスパンで振り返り、検証していくことも忘れずに

ただ逆に言えば、必要な資金が確保できればあとはどんどん節税していっても構いません。例えば大きな取引があって単発的に利益がはねた場合、運転資金として必要ない部分は社員還元や事業投資をして積極的に節税していくのも良いでしょう。

もっとも必要な運転資金というのは業種や規模によって様々です。そして、時間とともに変化していくものでもあります。「3年前に目標資金を貯めたから、それからは節税に打ち込んでます!」といった調子では、変化する状況についていくことはできません。都度自社の状況を分析し、今の取引規模はどのくらいなのか、毎月決まって出ていくお金はどのくらいなのか、どのくらいの余剰資金を残しておけばいいのか、しっかりと把握するようにしてください。

ただ、この作業を実際にやってみようとするとなかなか骨が折れます。そんなときは、税理士にご相談ください。税務・財務のプロとして会社の資金管理を請け負い、盤石の事業体制を築くお手伝いをさせていただきます。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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