税務処理の基礎知識

関係会社設立による節税効果

2_AdobeStock_45487254.jpeg「節税のために関係会社を設立した」。事業規模が大きくなってくると、こんな話しもよく聞かれるようになりますね。でも、関係会社がそもそもどんなものなのか知らない人にとっては、「なんで新しく会社を作ると節税になるの?」と疑問に思われるかもしれません。

そこで今回は、「関係会社っていったい何?」という基本的な疑問から、「本当に節税になるの?」という具体的なものまで、初めての方でもわかるように説明いたします。ぜひ参考にしてみてください。

関係会社とはいったい何?

関係会社というのは、読んで字のごとくになりますが、「関係のある会社群」を指して使われる言葉です。具体的には、別の会社に株式を一定数所有されている(別の会社の株式を一定数所有している)という状態です。株式を所有されている会社は、所有されている割合によって、「関連会社」と「子会社」とに分けられます。

・関連会社

関連会社とは、他の会社と20%以上の資本関係にある会社のことをいいます。例えば総発行株式数が1000株のA社の株を、B社が200株所有していれば「A社とB社は関連会社」ということになります。また、B社とC社が、A社の株を200株ずつ所有している場合には「A社はB社とC社と関連会社」ということになります。

・子会社

子会社とは、他の会社に総発行株式の50%以上を所有されている会社のことをいいます。所有株式が50%を超えると単独で議決権の過半数を得られることになるので、その会社に対する影響力は関連会社よりも強くなります。先ほどの例に倣えば、A社の株をB社が500株持っていれば「A社はB社の子会社(B社はA社の親会社)」になります。また、株式の所有割合が100%になると、「完全子会社」と呼ばれるようになります。

以上が関連会社と子会社の説明になります。さらに、関連してよく聞く言葉も簡単にご説明しましょう。

・孫会社

子会社の子会社が孫会社です。「親会社に総発行株式の50%以上を所有されている子会社」に「総発行株式の50%以上を所有されている会社」が孫会社になります。子会社は親会社の意向に従うことになりますので、実質的に孫会社はおおもとの親会社の意向に従うことになります。

・実質的な関連会社・子会社

先ほど関連会社や子会社は株式によって決まるといいました。しかし、株式以外にも関係会社だと認定される要素があります。それは、影響力です。例えばある会社の取締役の過半数が、同一企業から出向してきた人間の場合。おそらくその会社の舵は、出向元の企業の意向を酌んで決められることになるため、実質的には支配関係にあると言えます。資本関係が基準に満たなくても、このように一定の条件を満たせば関連会社や子会社と認定されることがあります。

・グループ会社

どちらかと言えば、関係会社よりもこちらの方が耳馴染みがいいのではないでしょうか?関係会社が会計上の呼び名なら、ビジネス上で使われるのがこの呼び名です。よくホールディングスと似たような使われ方をします。

関係会社を設立することで出来る節税

ここまでで関係会社についてのイメージはおおよそつかめたと思います。ではいよいよ、関係会社がなぜ節税につながるのかを見ていきましょう。

最初に考えられるのは、法人税などの軽減です。例えば、ある会社が複数の事業を運用しているうちに、全体の利益が800万円を超えるようになりました。資本金が1億円以下の場合、利益が800万円を超えると税率が急にはねあがります。多額の税金を払うことを防ぐために、一つ、あるいはいくつかの事業を切り離して、会社ごとの利益が800万円以下になるように会社をわけると、これまでの税率を維持できるのです。

その他には消費税の免除期間を利用する、という節税方法もあります。消費税は会社設立から2年間(設立年度とその次年度)は支払いが免除されます。これを利用して、伸びている事業を切り離して関連会社を新たに設立すれば、2年間は消費税分を節税することができます。

上記の2つの方法は節税方法としては非常に有効です。ただ、忘れてはいけないのが事務作業です。会社を新しく作れば、経理などの手間も2倍かかることになります。人件費も余計にかかりますよね。こういったマイナス面と節税効果を見比べて、より自社にマッチしたものを選択できると良いですね。

少し毛色は異なりますが、最後に関係会社内で会社ごとに決算月が離れている場合に利用できる節税方法をご紹介します。例えば期末に何らかの思わぬ形で利益を上げすぎた親会社が、決算月の少し前に慌てて子会社にホームページ制作を発注したとします。発注した分の費用は経費となりますので、その分親会社の利益は小さくなり、税負担も少なくなります。

もちろん、この費用は子会社にとっては利益となりますので、子会社の利益と税金は高くなってしまいます。ただ、決算月に半年程度のずれがあれば、そこから時間をかけてじっくりと節税することができますよね。

この節税方法に関連してよく問題になったのが、関係会社間の架空、水増し発注です。ホームページの制作などしていないのに、あたかもその取引があったかのように見せかけて資金を移動させたり、あるいは相場が10万円程度なのに利益を逃がすために500万で発注をしたりなどの例が挙げられます。結局グループ全体の社長は一人です。その社長からしてみれば、その中でお金を回せば何の損もなく節税できるというわけですね。

しかしこれも昔の話。グループ法人税制が設立されて、税務署のチェックが厳しくなった今、この抜け道のような方法は認められません。「グループ間取引=なんだか怪しい」という空気感すら漂っています。

もちろん、関係会社間の取引自体は不正なものではありません。「成果物」や「取引の証拠」があって、その取引が「相場通りの値段」で行われていることが明らかであれば、立派な取引として認められます。領収書・受領書は必ず保管して(成果物も保存されている方が望ましいです)、その取引が実際に合ったこと、その費用感が外注に出した時とほぼ同じであること、を主張できるようにしてください。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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