COLUMN

コラム

税務処理の基礎知識

確定申告を忘れてしまった!申告内容のミスに気付いた!今からできることを紹介します。

確定申告をする義務をお持ちの皆様、確定申告についてどんなイメージをお持ちでしょうか?
確定申告にかかわる作業というのは単純な作業量としてはもちろん、その内容も専門的なものが多いので毎年重い負担になっているかと思います。
そんな確定申告ですから、中には「申告をするのを忘れてしまった!」「申告内容を間違えてしまった!」と言う場合もあります。
そこで今回は、きっかけはなんにせよ申告忘れや過少申告が発覚した場合の対処法をお伝えします。

何よりも早い納税を

確定申告と言うのはその年の利益を確定させて申告することであり、何のために行うのかと言われればそれは納税のためです。
なので、無申告や過少申告の状態と言うのは払うべきものを払っていない状態なので、早い話が違法状態だと言えます。
この状態を一刻も早く解消するためには、一刻も早い確定申告及び納税が必要になります。
ただ、時間がなかったり確定申告に対するノウハウがなかったりすることなどから、申告書の作成に取り掛かれない場合もあります。
そんな時には税理士に相談してみてください。

もしかするとこの記事をお読みの皆様の中で、「税理士に相談したら無申告や過少申告のことを怒られるのではないか」という心配をお持ちの方がいるかもしれませんが、それは杞憂と言っていいでしょう。
確かに税理士には企業の健全な財務活動をサポートするという使命はありますが、既に過ぎてしまったことは仕方がありません。
その失敗をなるべく早く挽回できるようサポートするのもまた、税理士の使命なのです。

また、「税理士に頼んだところですでに違法状態なのだから何も変わらないんじゃ……」というある種の諦めをお持ちになってすべてをご自身で頑張ろうとする方もいますが、この認識も誤りです。
通常無申告の場合は無申告加算税という罰則が、過少申告の場合には過少申告加算税という罰則が適用されるのですが、時には税務署側の判断でこれらより重い罰則となる重加算税が課せられることもあります。
これは本来収めるべき税額の最大40パーセントを追加徴収されてしまうため、資金に余裕がないと払うことすらできないケースもあります。
そんな時、税理士に依頼しておくと安心なのです。
なぜなら、重加算税が課せられそうなときでも税理士がお客様の代わりに、税務署と対等の立場に立って交渉することで、重加算税を回避することができるからです。
これを税務のことを知らない方がしようとしても、プロである税務調査官に言いくるめられてしまいます。
税務のプロであり、その道の専門家である税理士だからこそできることなのです。

無申告にせよ過少申告にせよ、判明したのであればとにかく早い納税が重要です。
もしこの無申告や過少申告が単年のみなら、まだ税務署がこの事実に気づいていない場合も多々あります。
税務署につつかれる前に申告したり修正申告を提出したりすれば、延滞税のみで他の罰則が免除になる可能性もあり得ます。

ただこちらがいくら早く取り掛かろうとしても、申告書を作成中に税務署が気づいてしまったら意味がありません。
この対策には、無申告や過少申告が発覚したらすぐ税務のプロに連絡するのが最善。
自分で申告書の作成までやるならあらかじめ税務署に電話し、何日までに出来上がる旨を伝える電話、作成を税理士に任せるなら税理士に電話、と言ったような形です。
こうしておけば、税務署はいつ気づくだろうか、という不安に怯えることもありません。

ちなみに平成28年の法改正で、今まで認められていた通知後の修正申告が認められなくなりました。
これはどういうことかというと、もし申告に不備があったとしても、「税務調査に入る」という通知から実際に入られるまでの間に修正申告を済ませれば追加徴税はかからなかったのですが、これからは5%の過少申告加算税を課しますよ、という法改正です。
なお、この法改正によって、税務の知識が少しでもある方だとどうしても気になってしまうのが、この場合の重加算税の扱いについてではないでしょうか。
過少申告税が課せられる要素があるということは、重加算税が適用されてしまう可能性もあるのではないか、と。

この点はご安心ください。
上記の改正と同時に、重加算税を規定する法律にも改正が加えられ、実際に税務調査に入られる前に行われた修正申告については重加算税が課されない、という風に変更されたからです。
しかしこの改正された税制の運用が本格化していけば、5%の過少申告税が課せられるのは確実です。
確定申告はミスなく期限内にしっかりと済ませる、そしてもしミスなどが発覚したらその段階で税務のプロに連絡する、という姿勢を忘れないようにしてください。


※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。