COLUMN

コラム

税務処理の基礎知識

経理担当を雇うくらいなら、税理士に経理を任せよう

◎「経理」という言葉の意味を知ることで経理担当が必要かどうかを考える

頻繁に耳にする割には具体的に何をするのかよくわからない。
そのような言葉を目にする機会はあるかと思いますが、「経理」もそのひとつではないでしょうか。
経理という言葉は、確かに説明が難しい言葉の一つですが、きちんと理解することで経理を専門に扱う経理課や経理担当といった人たちの業務内容が見えてきます。
会社を経営しているのなら、自分の会社において経理の選任担当者をつけるべきなのかそうではないのかという判断の一助にもなるのです。
今回は、経理という言葉を通じて、経理を誰に任せるべきなのかを考えてみましょう。

会社では、日々多くのお金が出入りしています。
仕入れや売り上げ、日々の業務をこなす中で生まれる雑費や人件費など、その内容は多岐に渡り、かつ膨大です。
しかしこれらお金の動きは会社の動向そのもの。
しっかりと管理し日次、月次、年次ごとにまとめなければなりません。

このお金の動きを記録していくのが経理です。
規模の小さい個人事業主などは社長一人でその全てを追えるかもしれませんが、会社の規模が拡大していくとお金の流れが複雑になる上に、社長自身の忙しさにも拍車がかかってくるので、経理を完璧にこなすのは難しくなってきます。

この段階になると、経理を誰かに任せることを考え始めるでしょう。
せっかくだから、経理の知識を持つ人を雇って全てを任せよう、と考える人もいるかもしれませんね。
実際に、一定以上の規模の会社では、経理担当者を置いていることが多いです。

◎経理専門の人を雇うことは、様々な無駄につながる可能性がある?

確かに経理の知識を持つ人を雇えば、一から十まで説明をする必要なく経理を任せることができるかもしれません。
しかし実は、一概に経理担当を雇うことはいいことばかりとは言えないのです。

経理の業務内容というのは専門的な領域も多く、その全てをきちんと網羅するにはそれなりの知識と経験が必要になってきます。
経理は専門職で他の人は簡単に手が出せない、とまで言ってもいいかもしれません。

そしてここがポイントなのですが「他の人」というのは社長自身も含まれるのです。
経理を専門としている人は、自分なりのやり方を持っている人がほとんど。
中には今まで経理を行っていた経営者などのやり方を踏襲してくれる人もいるかもしれませんが、任せられたとなると自分のやりやすいように作り変えていくのは当然のことと言えます。
つまり、経営者を始めとした社内の人間全員が全く知らない、チェックすることができない内容の業務に置き換わっているかもしれないのです。

これは言い換えると、経理がブラックボックス化していくということ。
そこには、「無駄」とも言えるような処理が溢れかえっている可能性があります。
例えば数百円単位の小額での経費の精算をいちいち現金で行ったり、出納作業においてもネットバンキングへ移行すればわざわざ社外に出る必要のないものを頑なに銀行まで行って済ませたり。
些細なことだと思われるかもしれませんが、このような無駄なことをしている時間に対しても給与を支払っていることを考えると、積もればかなりの金額になります。

また経理というのは先ほども行ったように専門職的な側面が強く、それに伴って経理担当というのは自分のスタイルにこだわりやプライドを持った職人気質の人が多いと言われています。
例えば社長や他の従業員が経理の業務についての無駄を発見したとしても、自分のやり方が正しいと信じきっている担当者だとなかなか受け入れずにその提案を突っ返してしまったり、社長が説得しようにもそれらしいことを言って丸め込んだりしてしまうのです。

社内のお金に関する情報が全て経理担当者に入ってしまうこともデメリットのひとつです。
いくら経理担当者が専門職のようだといっても、扱いは他の従業員と変わりません。
それにも関わらずなるべく他の人には知られたくない情報、例えば個人の給与など秘匿性の高い情報も、経理担当者には筒抜けになってしまいます。

◎一番困るのは「経理の担当者が退職するとき」

もしかすると、ここまで挙げたデメリットは、業務自体に重大な支障が出る可能性は低いため、デメリットに感じない人もいるかもしれません。
しかし、ブラックボックス化した経理が明確に厄介な問題となるタイミングがあります。
それは、経理担当者が退職したときです。

十分な引継ぎの時間を設ければ問題ない、とお考えになると思います。
しかし引継ぎというものは、通常の業務でさえいかに完璧に行ったと思っていても「誰にも引き継がれていない」といった問題が発生するものです。

職人気質の、誰にも経理の仕事を明かさない、預けないような人が積極的に全てを引き継ぐための準備をする保証があるでしょうか?
一切の漏れもなく、誰も知り得なかった業務内容を後任に引き継ぐことができるでしょうか?
そして問題なく引き継ぐことができたと判断する人はいるでしょうか?

そもそも引き継ぐ時間すらないほど突然退職する可能性だってあります。
その後、社内でどのような混乱が起こるかは想像に難くないでしょう。

とは言え繰り返しになりますが、会社の経理業務というのはなかなか素人が全うできるものではありませんし、ましてや経営者の本来の業務の間を縫って無理矢理行うなどはもっての他です。
やはり経理はその道のプロに任せるのが安心。

そこで役に立つのが税理士です。
税理士は税務のプロですが、その中には経理も含まれています。
会社の経理を一括して外部の税理士に委託することで、この記事で挙げたようなデメリットはなくなりますし、その後の納税処理や節税対策などもスムーズに行うことができます。
費用の面から見ても正社員を一人雇うよりも安上がりですので、経理担当者を雇おうか迷っている、今まで経理担当者が居たがもうすぐ退社してしまう、というような方はぜひ検討してみてください。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。