COLUMN

コラム

税務処理の基礎知識

消費税を含めた総額表示について

会社、事業者は、取引価格を表示する際、総額表示が義務づけられており、消費税等を含めた価格で表示しなければならないことになっています。
具体的には、どのように表示すればよいのか確認しておきましょう。

◎消費税等を含めた総額表示の方法

課税取引を行う全ての事業者は、取引価格を表示する場合、消費税等を含めた価格で表示することが義務づけられています。
というのも、消費税等を含めない価格で表示が行われていると、消費者の立場からは、いくら払えばよいのか、その価格がわかりにくいという不便さがあるからなのです。

一般消費者が注文・購入する前に見るすべての価格表は、総額表示が義務づけられています。
たとえば、飲食店のメニューやファッション衣料店の値札をはじめ、一般消費者に対して発行する見積書、パンフレット、カタログ、インターネットのサイトでの価格などがそれにあたります。

総額表示の方法については、特に限定されているわけではありません。
税込金額と税抜金額を併記する方法や、税込金額と消費税の額を併記する方法など、以下に示す6つの方法であれば、いずれでも認められます。

〈消費税の総額表示方式の例〉
①10,290円
②10,290円(税込)
③10,290円(本体価格9,800円)
④10,290円(うち税490円)
⑤10,290円(本体価格9,800円、税490円)
⑥9,800円(税込10,290円)

なお、次の場合は、総額表示方式の義務づけの対象から除かれることになっています。

①免税事業者の場合
免税事業者である課税売上高1000万円以下の企業は総額表示の義務対象外となります。

②純粋な事業者間取引の場合
総額表示は、一般消費者を対象に取引を行う企業に義務づけられているもので、純粋な事業者間取引の場合には対象になりません。
主に事業者と取引を行う場合には、総額表示をしなくてもよいことになっています。

③請求書や領収書など
総額表示が義務づけられるのは、取引を行う上であらかじめ取引価格を表示する場合です。
たとえば、見積書は、物品を譲渡する前に発行するものなので、あらかじめ取引価格を表示する場合に該当し、総額表示が義務づけられます。
ただし、一般的に資産の譲渡や役務の提供の後に発行される請求書や領収書などは、取引後のものなので、総額表示をする義務はありません。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。