COLUMN

コラム

税務処理の基礎知識

設備投資と消費税の還付/消費税の課税期間と事業年度

◎設備投資したときの消費税の還付と手続き

消費税は通常、売上にかかる消費税から仕入等にかかる消費税を差し引いた残額を納付します。
仕入等にかかる消費税とは、商品や原材料の仕入にかかる消費税だけではなく、販売費・一般管理費にかかる消費税、建物・機械・車両などの設備にかかる消費税も含まれています。

すると、大きな設備投資をした場合など、売上にかかる消費税よりも仕入等にかかる消費税のほうが大きくなることもありますね。
その場合には、消費税の納付ではなく、その差額の還付を受けることができます。
設備投資の金額によっては還付にならないケースもありますが、設備投資した場合には、消費税を納付するよりも還付となる可能性が高くなります。

ただし、基準期間の課税売上高が1000万円以下の免税事業者については、消費税の納税義務がないかわりに、還付を受けることもできません。
免税事業者であっても、消費税課税事業者選択届出書を所轄の税務署に提出すれば、課税事業者になることができます。
消費税の還付が受けられるように、免税事業者が大きな設備投資をするときは、届出書を提出して課税事業者になっておくのも一つの方法です。
なお、この届出書は、設備投資をする事業年度が始まる前に提出する必要があるので、注意しておきましょう。

◎消費税の課税期間と事業年度は原則として同じ

納付すべき消費税の計算をする基礎となる期間を「課税期間」といい、これは会社では事業年度とするのが原則です。
課税期間と事業年度は原則として同じなので、12カ月間となりますが、これを3カ月、または1カ月に短縮することもできます。

消費税の還付申告をするのは事業年度終了後の2カ月以内で、実際に還付されるのはそこからさらに2カ月ほど後のこと。
たとえば、3月決算の会社が4月に設備投資したとすると、翌年5月末に還付申告をして、還付されるのは通常なら翌年7月末となります。
すると、事業年度のはじめに大きな設備投資をした場合、消費税が還付されるのは1年以上先になりますね。
そこで還付を少しでも早く受けたいときには、消費税の課税期間を短縮してしまうという方法が採れるのです。
たとえば、課税期間を3カ月に短縮してしまえば、1年の場合に比べると、最大9カ月も早く消費税の還付を受けることができるというわけですね。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。