COLUMN

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税務処理の基礎知識

経費の考え方①役員の海外現地視察の費用

海外から輸入し卸売をしている会社などでは、現地での視察旅行を実施することもあるかと思います。
社長自ら渡航したり、役員や従業員が現地へ赴く際、旅行費用などはどのように扱われるのでしょうか。

◎業務上必要なものであれば旅費として経理処理できる

会社が役員や従業員の海外渡航に際して支給する旅行費用は、会社の業務遂行上必要なものであり、なおかつ、その渡航のため通常必要と認められる部分の金額については、旅費として処理することができます。

つまり、会社の業務遂行上必要なものであっても、その旅行費用が通常より不当に高額であるものについては、通常必要であると認められる金額を超える部分の金額は、役員や従業員の給与として扱われるので注意が必要です。
否認されないよう、日程表や訪問先での目的が明確にわかるような報告書を作成し、保存しておくことが大切ですね。

◎業務の遂行上、必要な海外渡航の判定

では、業務の遂行上必要な海外渡航は、どのように判定されるのでしょうか。
実質的には、旅行の目的、旅行先、旅行経路、旅行期間などを総合的に勘案して判定することになります。
しかし、観光渡航の許可を得て行う旅行や、旅行会社などが行う団体旅行に応募して行う旅行、同業者団体やこれに準ずる団体が主催して行う団体旅行で、主に観光目的と認められるものについては、原則として業務遂行上必要なものとはみなされません。
あくまでも、会社の業務を遂行することが目的であることが重要なのですね。
当たり前のことですが、観光目的のみの団体旅行などは、経費として認められないので覚えておきましょう。

ただし例外もあります。
上記のような旅行に該当する場合であっても、旅行期間内における旅行先、内容などから、会社の業務に直接関連があると認められるときは、関連ある部分の旅行に直接要した費用のみ、旅費として処理することができます。
主として観光目的の旅行であっても、滞在期間中の一日は現地視察、現地の役員や従業員などとの会議・打ち合わせなどに費やしたとすれば、その一日については業務遂行上必要と認められるので、そこで要した費用に限っては旅費として処理できるということになりますね。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。