COLUMN

コラム

税務処理の基礎知識

役員の報酬受取辞退への対応・役員への社宅家賃の扱い

業績が悪化してくると、自ら役員報酬を辞退しようと考える経営者もいるかもしれません。
役員が報酬を辞退した場合、問題となるのは源泉徴収の対象となるかならないかということですね。

◎役員が報酬受取を辞退した場合の処理とは?

本来、給与は支払いの権利が確定したときに計上することとなっていますが、給与にかかる所得税の源泉徴収を行うタイミングは、原則として給与を実際に支払うときとされています。
しかし、役員が受けるべき給与をその支給日前に辞退する旨を意思表示していれば、給与所得にはならず、源泉徴収の必要はありません。

一方、辞退したい給与が未払金計上されていると、給与所得とみなされ、たとえ辞退しても会社への寄付として、源泉徴収を行わなければならなくなるので、注意してください。

ただし、債務超過が相当期間継続していたり、商法による整理開始、破産手続の開始、民事再生法による再生手続開始、会社更生法による更生手続などの決定や命令を受けたことで、一般債権者の損失を軽減するために、やむを得ず未払いの役員報酬を辞退する場合は、辞退した役員報酬は役員の給与として課税されることはありません。

◎役員に貸与している社宅の家賃について

役員に対して社宅を貸与する場合は、役員から1カ月あたり一定額の家賃(賃貸料相当額)を受け取っていれば、現物給与として課税されることはありません。
たとえば、社長の息子(役員)に、住居用として社宅を貸与するといったケースがこれに該当するかと思います。

賃貸料相当額は、小規模な住宅か、それ以外の住宅かにより異なります。
建物の耐用年数30年以下の場合、床面積が132㎡以下、耐用年数が30年を超える場合は、床面積が99㎡以下である住宅を小規模な住宅としています。
賃貸料相当額を算出する計算方法による金額以上の賃貸料を徴収していれば問題はありません。

ただし、プール付きのような豪華な社宅であった場合は、算式に関係なく、時価が賃貸料相当額となります。
また、どの社宅の場合でも、賃貸料相当額より低い賃料を徴収していれば、その差額が現物給与として課税されることになり、差額分は源泉所得税の対象になるのでご注意ください。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。