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税務処理の基礎知識

収益・売上原価・棚卸資産で困ったとき②割賦販売の売上の計上

高額な商品(たとえば不動産など)を扱う会社では、一括払いよりも割賦販売を行うことも少なくないのではないでしょうか。
割賦販売の場合、代金を回収できるのかという心配や、売上の計上のタイミングがわからないといった疑問を抱かれるか方もいらっしゃいます。

売上の計上の時期は、「商品を引き渡した日」と決められています。これを引渡基準といいます。
売上代金を分割払いによって回収する割賦販売の場合でも、原則として引渡基準に則り、売上を計上することになります。

しかし、割賦販売は、通常の販売方法と違い、代金回収の期間が長期にわたります。
また、分割払いゆえに、代金回収が滞ってしまうというリスクがたいへん高いともいえますね。
さらに機械設備や不動産などを販売する会社だと、販売額が非常に大きくなるため、代金が回収されていないにもかかわらず、引き渡したときにその全額を売上に計上するとなると、納税資金に支障をきたすことにもなりかねません。

そこで、割賦販売においては、引渡基準の代わりに、「割賦金の回収期限の到来の日」、または「入金の日」を売上計上の日とすることも認められています。
このような計上方法を延払基準といいます。
ただし、延払基準が認められるのは、次の3つの要件を満たすことが必要です。

 ①割賦代金の支払が3回以上分割されていること
 ②商品を引き渡した日の翌日から最終支払日までの期間が2年以上であること
 ③商品を引き渡すまでに受け取る金額(頭金など)が、商品の代金の3分の2以下であること

回収代金が滞ったり、納税資金に支障をきたすなど、回収リスクを伴う割賦販売を行っている場合では、収益と費用を割賦代金の支払サイクルに合わせて計上する延払基準で処理するほうが、より合理的といえるでしょう。
延払基準に基づいて経理処理をすれば、各事業年度の収益の額と費用の額は、次のような計算がすることができます。

①各事業年度の収益の額
→収益の額=割賦販売の対価の額×割賦代金割合
②各事業年度の費用の額
→費用の額=割賦販売の原価の額×割賦代金割合

ここでいう割賦代金割合とは、次の算式によって計算される割合のことです。
→割賦代金割合=当期中に支払期限が到来する割賦金÷長期割賦販売の対価の総額

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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