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税務処理の基礎知識

インボイス制度の抜け道はあるのか?国の狙いとは?

いまだ反対も多いインボイス制度。なぜ反対意見が多いのでしょうか。また、登録しないことによるメリットなど、インボイス制度の抜け道はあるのでしょうか。インボイス制度を導入する国の狙いについても踏まえながら解説していきます。


◎インボイス制度とは

インボイス制度とは、2023年10月1日から開始する複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式です。正式名称は「適格請求書等保存方式」です。

インボイス制度導入後は、一定の要件を満たした適格請求書(インボイス)を売り手が買い手に発行し、双方が適格請求書を保存することで、消費税の仕入税額控除が適用されるようになります。

インボイス制度が導入されると、企業間での取引において、売り手が発行する請求書に対して、買い手が認証・承認することで取引が成立します。売り手が発行した請求書を電子的な形式で買い手に送信し、買い手が受領後に電子的な署名や承認を行うことで、請求書が正式なものとして承認されるという流れです。この際、売り手側は、「インボイス発行事業者」としての登録が必要になります。


◎インボイス制度への反対意見

インボイス制度の導入が進められるにあたって、現在、以下のような反対意見が存在します。


・個人情報の取り扱いが不安

インボイス制度は、取引に関わる企業間で個人情報や取引内容が電子的にやりとりされるため、情報漏洩や悪用のリスクがあるという懸念があります。


・税務署への報告手続きの煩雑さ

インボイス制度では、請求書の発行・受領の際に買い手が承認を行う必要があり、手続きが煩雑になるという指摘があります。また、制度によって新たな報告義務が生じることから、負担が増すとの反対意見もあります。


・中小企業への負担が大きい

インボイス制度の導入には、必要なシステムや技術を導入するためのコストがかかるため、中小企業には負担が大きいとの批判があります。また、複数の取引先と取引している場合は、請求書の承認が膨大な数になることから、事務処理の負担も大きくなるという指摘もあります。


これらの反対意見は、インボイス制度の導入に当たってきちんと考慮すべき課題や問題点であり、国には適切な対策が求められています。


◎「インボイス発行事業者」に登録しないとどうなる?

インボイス制度に対して、インボイス発行事業者として登録しないという選択することもできます。その際は、インボイスに関するシステムや技術を導入するためのコストを削減できる、請求書の発行や受領に関する新しいルールに縛られず従来通りのやり方でビジネスができる、といったメリットが得られます。

ただし、取引相手から取引継続にはインボイス制度への登録が必須であると言われてしまう可能性や、税務署からの調査などで不利益を被る可能性がある点には注意が必要です。


◎インボイス制度による国の狙いは?

インボイス制度の導入を進める国の狙いとしては、以下のような目的が挙げられます。


・税収増加の実現

インボイス制度により、買い手が請求書の承認を行うことで、請求書の存在が確実になり、消費税逃れや脱税の防止が期待できます。また、請求書をもとにした納税申告により、税収の増加が見込まれます。


・業務効率化の促進

インボイス制度により、請求書の電子化や自動化が可能となり、事務処理の効率化が期待できます。また、請求書の承認により、支払いサイクルの短縮やキャッシュフローの改善が見込まれます。


これらの狙いを実現するために、政府は企業に対して、インボイス制度の導入を奨励するとともに、制度の普及や説明などの啓発活動を行っています。 さきがけグループでは、インボイス制度に関するご相談も受け付けております。ぜひお気軽にお声がけください。