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税務処理の基礎知識

合併と買収の違いは?事業を統合するメリット・デメリットについて

ニュースを見ていると、企業の合併や買収という事例を目にすることも多いのではないでしょうか。「合併」と「買収」はどちらも、複数の法人の事業や権利義務を統合する行為ですが、この2つには大きな違いがあります。今回は、「合併」と「買収」の違いと、統合を行うことのメリット・デメリットについて解説します。

◎「合併」とは

合併には既存の会社を存続会社とする「吸収合併」と、新たに設立した会社を存続会社とする「新設合併」の2種類があります。

吸収合併の場合、どちらかの会社が消滅し、存続する会社に権利義務のすべてを引き継ぎます。新設合併では、合併するすべての法人が消滅し、すべての権利義務を新しく設立した法人に引き継ぎます。

新設合併では許認可などを再度取得する必要があることなどから、実務においては「吸収合併」が行われることがほとんどです。

◎「買収」とは

一方、「買収」とは、1つの会社が他社から事業や会社を買い取り、経営権を取得することです。代表的な手段として、発行済みの自社株を相手の会社に譲渡する「株式譲渡」、事業の一部または全部を譲渡する「事業譲渡」、会社の権利義務を切り出して承継する「会社分割」という手段が挙げられます。「合併」との大きな違いは、法人が消滅するわけではないという点です。

株式譲渡による買収を行う場合、対象会社の発行済株式数の50%を越える株式を取得し、経営権を得ることを目的とすることが一般的です。この場合、変動するのは株主のみであり買収対象会社は存続するため、対象会社の権利義務は引き続き対象会社が保有することになります。

また、事業譲渡の場合には、会社が所有する有形・無形財産が譲渡の対象となり、これには従業員や工場などの施設、権利・ブランド・ノウハウも含まれます。譲渡対象となるものを売り手・買い手が話し合って決められる、という特徴もあります。

◎合併や買収を行うメリット

合併や買収を行うことで得られるメリットはいくつかありますが、中でも大きなメリットとなるのは「シナジー効果の獲得」と「組織の大型化」です。

・シナジー効果の獲得

「シナジー効果」とは、複数のものがお互いに作用し合い、効果や機能を高める効果という意味ですが、事業経営においても、合併や買収によって、もとの企業の人的資源・技術・ノウハウを組み合わせることが可能となります。

それぞれの強みを共有し、シナジー効果が生まれることで、経費削減や生産性向上、売り上げ向上などのメリットも期待可能です。

・組織の拡大

合併や買収によって事業や組織が統合されると、基本的に事業の規模は大きくなります。

すると、重複するコストの削減やリソースの拡大、業界内でのシェア獲得やブランド力向上などのメリットも期待できるでしょう。

◎合併・買収を行うデメリット

多くのメリットが考えられる一方で、統合前に十分な検討を行わないと不測のリスクを負う可能性もあります。また、統合後に問題が顕在化するデメリットも存在します。

たとえば、複数の会社や事業をひとつに統合する作業には、多大な時間と労力を要します。また、吸収合併では、消滅会社の従業員は存続会社がそのまま引き継ぎますが、その際の給与基準は存続会社に合わせるのが通例です。状況によっては、人件費が増す可能性もあります。

合併・買収の目的は様々ですが、どのような手法で事業を統合するべきかは、専門家に相談しながら、慎重に検討する必要があります。さきがけグループでは、税務顧問から事業継承支援まで、さまざまなサービスを通じて企業経営のサポートを行っています。お気軽にご相談ください。

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