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税務処理の基礎知識

源泉所得税と所得税の違いとは?源泉徴収額の計算方法について

今回は、源泉所得税と所得税の違いについて解説します。また、正しく理解しておきたい源泉徴収額の計算方法もご紹介します。

◎源泉所得税と所得税の違い

所得税とは、1年間の所得に応じて納める税金のことです。日本に住んでいて所得がある方は所得税を納めなければいけません。納付の手段には、本人がみずから確定申告を行い納付する方法と、勤めている企業があらかじめ本人の給与から源泉徴収を行い、本人に代わって納付する方法の2種類があります。このうち、後者の方法で納められる所得税を「源泉所得税」と言います。

◎源泉徴収所得税の納付方法

源泉徴収した所得税は、原則として、給与を実際に支払った月の翌月10日までに税務署に納めることになっています。納付の際には、納付書(給与所得・退職所得者の所得税聴取高計算書)に納付金額を記載し、税務署または最寄りの金融機関で支払います。

ただし、給与の支給人員が常時9名以下の会社であれば、半年分をまとめて納付することができます。これを「源泉所得税の納期の特例」といいます。


この特例を受けていると、その年の1月から6月までに源泉徴収した所得税は7月10日、7月から12月までに源泉徴収した所得税は翌年1月20日までに納付すればよいということになっています。特例を受けるためには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」というものを所轄の税務署に提出し、承認を受ける必要があります。

◎源泉徴収額の計算方法

源泉徴収額の算出方法は以下の通りです。給与の場合と賞与の場合で計算方式が異なってくるので、誤って計算してしまうことのないよう、しっかりと把握しておきましょう。

税額を確認する際に使用する各表には、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している従業員に適用となる「甲欄」と、提出していない従業員が適用となる「乙欄」があります。また、日雇いの従業員は「丙欄」が適用となります。

<給与の場合>

①総支給額から社会保険料などを引いた金額を求めます。

②税務署から交付される「給与所得の源泉徴収税額表」に、①で求めた金額、従業員の甲・乙の区分、「扶養親族等の数」をあてはめて源泉徴収額を確認します。


<賞与の場合>

①前月の給与支給額から社会保険料などを引いた金額を求めます。

②税務署から交付される「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に、①で求めた金額、従業員の甲・乙の区分、「扶養親族等の数」をあてはめて「賞与の金額に乗ずべき率」を確認します。

③「賞与の金額に乗ずべき率」を①で求めた金額に掛けて源泉徴収税額を求めます。

前月の給与がない場合や、賞与の金額が大きい場合には「給与所得の源泉徴収税額表」を参照するケースもあります。


また、東日本大震災からの復興のための財源として、2013年1月1日から2037年12月31日までの間の所得について源泉所得税を徴収する際には、「復興特別所得税」を併せて徴収し、納付する必要があります。復興特別所得税の税率は「基準所得税額×2.1%」です。

源泉徴収所得税の納付は会社の義務であり、期日までに納付しなければ不納付加算税や延滞税が課される可能性があるので注意が必要です。計算から納税までの流れを確実に行うためには、社会保険労務士および税理士へ依頼することがおすすめです。さきがけグループでは、従業員の給与計算から年末調整まで、給与計算関連全般を代行する「給与計算サービス」を行なっております。お気軽にご相談ください。


※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄りの税務署か税理士へ確認してください。