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コラム
営利組織である企業は、基本的に利益を追求して継続した黒字を目指すものです。
しかし、中小企業の経営においては、あえて赤字決算とすることでメリットが発生する場合があるのも事実です。そこで今回は、中小企業が赤字決算を出す理由や赤字を出した場合の影響について解説します。
中小企業において赤字決算を出す理由は、ズバリ「税金を安くするため」です。
企業の所得に対して課せられる法人税は、1年間に発生した収入から経費などを差し引いて算出する「利益(所得)」に対して、その金額によって定められた税率を乗じて計算します。
赤字決算を行うと所得が0円となり、その年度の法人税がゼロになるため、わざと赤字決算として節税をするという企業も多いのです。
また、繰越欠損金控除という制度を利用することで、赤字になった翌年度以降の10年の間に黒字を出した場合、欠損金(赤字)を相殺することも可能です。簡単にいえば赤字を繰り越して、黒字となった年度の法人税を安くできるということです。
赤字決算を出した場合には法人税は免除となります。しかし、法人に課せられる税金の中にはたとえ赤字であっても納めなければいけないものもあります。
・消費税
企業の決算が赤字かどうかには関係なく、企業には消費税を納める義務があります。ただし、売上が1,000万円以内の場合や、設立後2年以内の企業であれば消費税の支払いが免除されます。
・源泉所得税
社員の給与から源泉徴収した税金のことです。消費税と同じく、こちらも納める義務があります。
・法人住民税の均等割、自動車税、印紙税など
法人住民税は「均等割+法人税割」で構成されており、赤字の場合には法人税が0であることから、法人税割の部分も0となります。均等割の部分については、その法人の資本金や従業員数で決まるため、赤字の場合でも納付が必要です。
その他、会社が所有している自動車にかかる税金や、契約時などに発生する印紙税なども、必ず納めなければいけません。
赤字決算を出すことによって法人税を節約できることをご紹介しましたが、ここで気になるのが赤字決算によるデメリットです。
企業の決算は、その企業の経営状況を外部から見ても分かりやすくするという側面も持っています。特に、金融機関で融資を受けたい場合には、利益が増加していることや業績の伸びをアピールすることが審査へ有利に働きます。この際に赤字決算を出している企業の場合、融資を行なっても返済能力がないと判断される可能性が高まるため、融資が受けにくくなります。
創業期の赤字や臨時的な赤字の場合など、理由によっては金融機関がある程度勘案してくれる場合もあります。しかしどんな場合であっても、赤字の要因や今後の業績改善の目処が立っているかなど客観的に金融機関を納得させることが求められます。
あえて赤字決算を出す場合のメリットもご紹介しましたが、そもそも恒常的に赤字が出ている状況は健全な経営であるとは言えません。特殊な事情があり、臨時的に赤字決算が出てしまった場合でも、2期連続赤字とならないように経営を改善することを目指しましょう。節税対策ばかりに気を取られ赤字を出し、融資を受けにくい状況が続くと資金不足から企業の成長機会を失うというリスクもあります。目先の節税よりも、事業の拡大や企業の成長のために黒字を継続させるような経営体質へと変化させることが大切なのではないでしょうか。