COLUMN

コラム

税務処理の基礎知識

「インボイス制度はひどい」って本当?インボイス制度について分かりやすく解説

働き方や仕事内容、あらゆるものが多様化しつつある令和の時代。一昔前まではライターやデザイナーといった職業というイメージだったフリーランスも、今ではマーケティングや人事といった領域にまで広がりつつあります。そんな中、「フリーランスが不利になるひどい制度だ!」と世間を賑わせているのが2023年より導入される「インボイス制度」です。この制度に不安を覚えているフリーランスの方も多いのではないでしょうか。

しかし、そもそもインボイス制度とはどういった制度なのか?と問われると言葉に詰まる方もまた、多いかもしれません。今回は、インボイス制度の導入について分かりやすく解説します。

インボイス制度を理解するためには「消費税」を理解しましょう

インボイス制度を理解するためにおさえておかなければならないこと、それは「消費税」です。消費者として身近な税である消費税は、事業者になると少し話が変わってきます。消費税を支払うと同時に受け取る立場でもあるため、受け取った消費税を納税する義務が生じるのです。

具体的な計算方法としては、単純に「売上税額」から「仕入税額」を差し引いて求めることができます。この差し引く仕入税額のことを、「仕入税額控除」と呼びます。後述しますが、インボイス制度は簡単に言うと「一部の仕入れに対して、仕入税額控除が受けられなくなる」という制度であると言えます。

課税売上高1,000万円を超える事業者は「課税事業者」、逆に課税売上高1,000万円以下の事業者は「免税事業者」に分類されます。インボイス制度の導入後は、課税事業者が発行する「適格請求書」のみが仕入税額控除の対象となるのです。適格請求書を免税事業者が発行することはできませんので、実質「課税売上高1,000万円以下の事業者からの仕入れは、仕入税額控除の対象にならない」ということになります。

また、課税事業者か免税事業者かどうかは前々年の課税売上高が1,000万円以上か以下かで決まります。つまり、事業を始めたばかりの事業者は確実に適格請求書を発行することができません。

◎インボイス制度

仮に免税事業者に仕事を発注した場合、その取引先からの仕入れに対しては仕入税額控除を適用することができません。結果として、取引先はより多額の消費税を納税することになるため、免税事業者を避け、適格請求書が発行できる課税事業者へ仕事を発注するようになるということが考えられます。

つまり、インボイス制度がフリーランスに与える影響は、フリーランスの方自身が事業者として納税する消費税が大きくなるという問題ではありません。フリーランスの方に発注される仕事が減少してしまう可能性があるという点に注意が必要なのです。

導入は2023年ですので、今のうちに売上を伸ばし、課税事業者となるようにするのが最善の方法ではあります。ただ、課税売上高1,000万円を超えていなくても、「消費税課税事業者選択届出書」を提出することで課税事業者になることが可能です。消費税の申告・納税は必要になりますが、一つの選択肢として視野に入れておくと良いでしょう。

インボイス制度が導入される2023年10月以降は、適格請求書がないと仕入税額控除が適用されなくなります。そのため、課税売上高が1,000万円以下の免税事業者のフリーランスの方にとっては、仕事が激減する可能性があり、これは死活問題だと言えるでしょう。


インボイス制度導入後も生き残るための一番の方法は「売上を伸ばすこと」。ただ、免税事業者の対象であったとしても、課税事業者の届け出をすることで対策が可能ですので、制度をしっかりと把握し何が問題かを把握することが大事と言えます。

さきがけ税理士法人では、煩雑な税務処理のご相談をいつでも承っております。最適な形をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。