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会社設立の流れと設立書類ひな形

法人成り後の個人事業主としての確定申告 ~個人事業主から法人成り~

法人成りをしたあとも個人事業者として、最後の年度については確定申告をする必要があります。その際、注意しなくてはならない点がいくつかあるので確認しておきましょう。

◎売買契約、現物出資により財産の移転があった場合に注意するべきこと

【所得税と住民税】
売買契約、現物出資によって、個人の財産を会社に移動した場合→原則として、時価で譲渡したものとされ、所得税や住民税の対象になります。
例:営業車(帳簿価格100万円)を会社に150万円(時価)で現物出資した場合、(現物出資するためにかかった費用をゼロとした場合)150万円”100万円=50万円の売却益が個人に発生。
個人に対する所得税や住民税は、移した財産の種類によって計算方法が違います。
①棚卸資産
「事業所得」となり、今まで消費者や得意先に販売していたときと変わりません。(商品、製品、材料、仕掛品など)
②建物、土地
「譲渡取得」となり、ほかの所得とは区別して課税されるので、「分離課税の譲渡取得」といわれています。(事務所、倉庫、駐車場、作業場など)※古くから持っている土地は、時価が取得した価格より高くなっていることが多いので、多額の売却益が発生することがあるので十分注意が必要ですね。
③固定資産
(②に該当するものを除く)「譲渡所得」となりますが、②と違い、ほかの所得と区別せずに課税され、「総合課税の譲渡取得」といわれています。(営業車、トラック、パソコン、機械など)

【消費税について】
高額な財産を移した場合、多額の消費税を納税しなくてはならないことがあるので、事前に税額を見積もっておく必要があります。なお、土地の売買には消費税がかかりませんが、課税売上割合という問題が出てくるので、税理士に相談したほうがよいでしょう。

◎個人事業の事業税の見込み控除の方法

個人事業税は、所得税の確定申告をもとに都道府県税事務所が計算します。
事業税は所得税の計算上、通知書を受け取った年の経費として処理することになります。ただし、法人成りをした最終年度については、最終年度の確定申告をしたあとに通知される事業税を経費とすることができないのですね。そこで「見込額」をその年のうちに経費とすることができるようになっています。計算はかなり複雑なので、税務署や税理士に相談することをお勧めします。

◎法人成り後の入出金口座の移行について

法人成りしたあとは、すべての取引を会社として行います。入金や支払いは、会社の預金口座を使用してください。とくに売掛金の入金については、個人の口座に振り込まれてしまうことがないよう、口座を開設したらすぐに取引先に連絡してくださいね。

さて、今回のテーマは「法人成りと確定申告」でした。上で書いたような注意点を誤らずにこなしていただきたいですが、そもそも、確定申告で適正な納税額になるようにもしていただきたいです。
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※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。