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経理に役立つ簿記知識

「前払費用」の仕訳方法とは?

◎勘定科目「前払費用」とは?

通常の業務をするためにかかる諸経費などの代金で、一定の契約に従ってサービスなどの提供を受けている場合、その一定の期間(半年分、1年分など)の代金を先払いすることがありますよね。例えば、2年分まとめ払うことの多い火災保険などがそれにあたります。このように決算期をまたいで先払いした費用は、次期分を除く必要があり、次期分を繰り越す勘定科目のことを「前払費用」といいます。そして本来次期の費用に計上しなければならないものを除外することを「費用の繰り延べ」といいます。

◎「前払費用」の仕訳方法

<例1:決算日が9月30日の会社で、オフィスの家賃(1カ月50万円)を、1月~12月までの1年分(合計600万円)として、1月1日に先払いした場合>
・当期分…1月~9月 ⇒ 450万円
・次期分…10月~12月 ⇒ 150万円 ⇒ 除外する仕訳をする
◇1月1日(支払時)の仕訳
①結果を考える…現金600万円を支払った ⇒ 帳簿の右(貸方)に「現金600万円」と記入
②原因を探る…1年分の家賃を支払った ⇒ 帳簿の左(借方)に「支払家賃600万円」と記入
◇9月30日(決算日)の仕訳
①結果を考える…現金150万円について先払いした ⇒ 帳簿の左(借方)に「前払費用150万円」と記入
        (この場合、当期に支払った費用のうち、次期以降に対応する分を処理する)
②原因を探る…次期のうち3か月分の家賃150万円 ⇒ 帳簿の右(貸方)に「支払家賃150万円」と記入

<例2:決算日が3月31日の会社で、オフィスの保険料(1カ月1万円)を、1月~12月までの1年分(合計12万円)として、1月1日に先払いした場合>
・当期分…1月~3月 ⇒ 3万円
・次期分…4月~12月 ⇒ 9万円 ⇒ 除外する仕訳をする
◇1月1日(支払時)の仕訳
①結果を考える…現金12万円を支払った ⇒ 帳簿の右(貸方)に「現金12万円」と記入
②原因を探る…1年分の保険料を支払った ⇒ 帳簿の左(借方)に「保険料12万円」と記入
◇3月31日(決算日)の仕訳
①結果を考える…現金9万円について先払いした ⇒ 帳簿の左(借方)に「前払費用9万円」と記入
        (この場合、当期に支払った費用のうち、次期以降に対応する分を処理する)
②原因を探る… 時期のうち9か月分の保険料9万円 ⇒ 帳簿の右(貸方)に「保険料9万円」と記入

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