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コラム
サラリーマンであれば、所得税などの税金は給与が支給される際に源泉徴収されて、残った金額が振り込まれるケースがほとんどだと思います。そして給与明細を見てみればわかるように、天引きによって毎月支払われている税金類の金額は、かなりのものです。
さて、このように源泉徴収された税金について、ここ数年である節税方法がブームになっています。税金の還付制度を用いた方法なのですが、この方法は果たしてどのくらいの節税効果が見込めるのでしょうか?また、税務上問題のないことなのでしょうか?
源泉徴収された税金に対する節税方法を大まかに説明すると、「本業で得た給料と副業で出した損益とを通算することで、課税額を少なくする」というものです。
所得税や住民税というのは、その年に得た収入に対してかかります。サラリーマンであれば、給料がこの収入に当たります。通常は、給料を支払っている会社が課税額を算出して源泉徴収しています。後は会社が代わりに納税してくれるのです。
ですが、副業があると話が変わります。その副業で一定以上の利益が出ていれば確定申告の必要がありますし、また損失が出ているのなら確定申告をすることで本業でのお給料、つまりプラス分と通算することができるからです。
サラリーマン大家さんという言葉をご存知でしょうか?これはサラリーマンがアパートなどの不動産を経営することによって将来的に安定した収益源を作ると同時に、そこにかかる経費をサラリーマンの収入と通算して課税額を減らすことを狙ったものです。ただ不動産となると初期費用も莫大なものになりますし、また土地価格の暴落などによるリスクも大きくなります。
そこでコストのかからない、つまりリスクのない事業を作ることで安全に節税しようというのが、ここ10年ほどでブームとなった節税方法です。ただ、リスクのない副業なんてあるのでしょうか?
確かに利益を得ようと考えれば、そんなうまい話があるはずもありません。しかしこの副業はいわば損失を出すための副業。利益のことなど考える必要はないんです。ブームのきっかけはある書籍の出版なのですが、その著者はイラストレーターでした。これなら初期費用も掛かりませんし、趣味の延長として楽しんでできそうですよね。
このようなリスクのない副業を作ったら、経費を計上していきます。仕入れはもちろん、自宅作業なら家賃や光熱費、通信費などで損失を重ねていきます。これが終わると、確定申告です。先ほど計上した経費を損失として申告すると、その年の損益が通算され、お給料から源泉徴収されていた税金の払いすぎていた分が還付されるのです。どこまで経費として計上するかにもよりますが、年間数十万円もの節税も可能になると言われています。
ただし、残念ながらこの方法は今では使えないと考えた方がいいでしょう。その理由は、税務署の監視が厳しくなり、節税のための事業は事業所得と認められずに雑所得とされてしまうケースがほとんどだからです。雑所得による損失は、給料と通算できません。
雑所得というのは事業として認められない活動によって得られた所得のこと。ギャンブルや仮想通貨取引、趣味の延長で得た収入などがこれに当たります。これらの損益は給料との通算ができないので、もし作った副業が事業として認められなければ、単純に赤字の副業を増やしただけという結果になってしまいます。もちろん立派な事業として認められれば、事業所得としてしっかりとお給料と通算することが可能です。
確かに10年前は、先程ご紹介したやり方が通用していましたし、著者以外にもこのテクニックを使っていた方はいたのでしょう。しかしそれは税務署が見逃していてくれていたからできていたにすぎません。本来なら節税のための副業は事業所得として認められる基準にない、というのは今も昔も変わっていませんから。
それが皮肉なことに、本の出版をきっかけにこの手法が広く知られるようになると、税務署も黙っているわけにはいかなり、きちんと精査するようになりました。事業の実態を調査し、明らかに節税用と思われるものは事業所得として認めなくなったのです。
このような現状ですから、節税用の副業を事業として申告するのは無駄な手間がかかるだけで得なことはないと言えるでしょう。
ただし、本当に副業を事業として成長させていきたい、今はそのための下積みなんだ、という場合であれば、もちろん事業所得として認められます。しかし税務調査に入られて指摘されてしまった、というケースも十分にありえるのです。そうなる前に、ぜひ税理士にご相談ください。前述のとおりサラリーマンの副業に対する税務署の視線は厳しくなっております。あなたの事業に根拠をプラスして、きちんと事業所得として認めてもらえるようお手伝いいたします。
※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。