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税務処理の基礎知識

消費税計算に必要な帳簿類/領収書がないケースの対応方法

消費税の仕入れ税額控除を行うためには、事業者がその課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿および請求書等の保存が必要です。
つまり、帳簿および請求書の保存がない場合には、仕入税額控除の適用はなく、売上に係る消費税が納付すべきことになってしまいます。

◎消費税計算をするために必要な帳簿・書類

必要となる帳簿および請求書等には、一定の事項が記載されている必要があり、国内取引の帳簿には、4つの事項(誰から、いつ、何を、いくらで)が記載されていなければなりません。
なお、帳簿および請求書等は、それぞれ以下の通り、9年間、納税地または、その取引に係る事務所等の所在地に保存しなければならないとされています。

①帳簿
帳簿の閉鎖の日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から9年間
②請求書等
受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から9年間

仕入税額控除を行うために保存するべき帳簿について、消費税法では明確な規定はありません。
一般的に帳簿とは次のようなものをいいます。
 ①総勘定元帳
 ②補助元帳(現金出納帳、預金出納帳、他)
 ③補助簿
 ④仕訳帳
 ⑤仕訳伝票
 ⑥営業日誌(作業日誌)

◎請求書や領収書等が取れない場合

帳簿については、事業者が作成するので問題はありませんが、請求書等は相手方の事情や都合により、取れない場合もあります。
請求書等がない場合には、仕入税額控除ができないのが原則です。
ただし、例外として、以下の場合は、請求書等がない場合でも、帳簿の保存だけで仕入税額控除をすることができます。

①その課税仕入れに係る支払対価のい額の合計額が3万円未満である場合

3万円未満の判定ポイントのひとつは、消費税および地方消費税込みの金額で判定すること。
もうひとつは、1回の取引に係る金額で判定することです。
したがって、請求書等をとれない相手方との取引については、1回の取引を3万円以下に抑えれば問題ないことになりますね。

②請求書等の交付を受けなかったことについてやむを得ない理由があるとき

支払対価の額の合計金額が3万円以上であっても、請求書等の交付を受けなかったことにつき、やむを得ない理由があるときは、帳簿に次の事項を記載していれば、帳簿の保存だけで仕入税額控除が認められます。

〈やむを得ない理由があるとき〉
●自動販売機を利用して課税仕入を行った場合
●入場券、乗車券などのように課税仕入に係る証明書類が資産の譲渡等を受けるにつき、資産の譲渡等を行う者により回収されることとなっている場合
●課税仕入を行った者が課税仕入の相手方に請求書等の交付を請求したが、交付を受けられなかった場合
●その他

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。