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資金調達の基礎知識

上場企業や中小企業が3年連続赤字だとどうなる?銀行融資にも影響が?

「3期連続赤字」と聞くと、経営者なら誰でも危機感を覚えるはずです。
会社にとって赤字は避けたいものですが、それが数年続くとなると、信用や融資、場合によっては上場維持にも影響を及ぼす可能性があります。しかし、実態はもう少し複雑です。赤字が続くからといって、すぐに会社が倒産するわけではなく、むしろ「続けるか、止めるか」の見極めのタイミングが訪れているとも言えます。
今回は、上場企業・中小企業それぞれの立場から「3期連続赤字」が意味するもの、銀行や金融機関への影響、そして経営判断としての“辞めどき”について解説します。

◎上場企業の場合:3期連続赤字で上場廃止になる?

まず、上場企業における「3期連続赤字」の影響から見てみましょう。
東証では、特設注意市場銘柄や上場廃止基準を設けており、赤字が続くことで以下のような処分が課されることがあります。

・継続企業の前提に関する注記(GC注記)が付される
・一定条件下で監理銘柄や整理銘柄への指定
・財務諸表の悪化により上場廃止基準に該当する可能性

ただし、「3期連続赤字=即上場廃止」という単純なルールは存在しません。

問題は「債務超過」や「営業キャッシュフローの悪化」など、企業の将来性や資本構成に問題があるかどうかです。つまり、会計上の赤字が3年続いても、十分な内部留保や再建計画があり、財務バランスを維持していれば、上場継続は可能です。

◎中小企業にとっての「3期連続赤字」は何を意味するか?

中小企業においても、3期連続赤字は経営の転機となる重要なシグナルです。
とくに注視すべきなのは、以下の3つの観点です。

① 資金繰りへの影響

利益が出ていなくても、現金が回っていれば事業は続きます。しかし、赤字が3年続くと、多くの企業で手元資金が細り始めるのが現実です。この段階で資金調達手段が限られはじめ、次の一手が打ちにくくなります。

② 銀行融資・信用保証の見直し

銀行や信用保証協会は、決算内容を厳しくチェックします。「3期連続赤字 銀行」と検索されるように、これは金融機関が融資姿勢を変える分岐点のひとつでもあります。継続的な赤字は、次のような扱いにつながる可能性があります。

・融資審査が通りにくくなる(特に無担保・無保証の場合)
・信用保証協会の保証が下りにくくなる
・既存融資の条件変更交渉が難航する
・新規融資を断られる(=資金ショートのリスク)

③ 経営者自身の“辞めどき”の判断

3期赤字が続くと、「いつまでこの事業を続けるべきか」と自問する方も少なくありません。赤字でも情熱があれば続ける選択肢もありますが、事業の将来性・体力・社内の意欲などを多角的に見直すタイミングでもあります。

◎融資を受け続けるには?金融機関が見るポイント

中小企業が3期連続で赤字を出しても、すぐに金融機関から見放されるわけではありません。大切なのは、「この会社に立て直す意思と見込みがあるかどうか」です。金融機関が注目するのは、次のようなポイントでもあります。

・今期の赤字要因が一時的か構造的か
・社長の経営姿勢・説明力
・具体的な経営改善計画の有無
・キャッシュフローの状況(黒字化の兆し)
・手元資金の厚みや資産状況

たとえば、積極的な設備投資による赤字であれば、将来的な利益回収が見込まれると判断され、融資継続の可能性は高まります。

◎最後の判断は“数字と向き合う”ことから

赤字が3年続いたからといって、必ずしも事業をやめるべきとは限りません。
ただし、「なぜ赤字なのか」「何が変わっていないのか」「次にどうするのか」という問いに答えられないまま続けるのは、経営者自身にとってもリスクとなります。逆に、厳しい現状を正面から見つめ、数字を整理し、再起の道筋を立てられる企業には、まだ可能性があります。

◎3期連続赤字は「終わり」ではなく「選択の時」

赤字が続くと、確かに事業は厳しくなります。しかし、それは会社にとって「終わり」を意味するものではなく、「次の選択肢を考える時期」であるとも言えます。

・上場企業であれば、開示姿勢と改善計画の透明性が問われる
・中小企業であれば、資金繰りの見直しと金融機関との対話が重要になる
・経営者にとっては、「辞めどき」か「立て直し」の分岐点

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