COLUMN

コラム

税務処理の基礎知識

決算時の対策について④業績不振などによる損失の計上について

今回取り上げるのは、損失の計上に関する2つのケースです。
ひとつは、会社が持っている棚卸資産の価値が下落、買値より大幅に値下げしないと売れない状況になり、評価額との差を計上することができるかどうか、というケース。
また、もうひとつは、出資している会社の業績が悪化し債務超過に陥った際、投資株式の評価額を計上できるかどうかというケースです。

◎棚卸資産の損失の計上について

原則として、会社が所有する棚卸資産の評価換えをして、その帳簿価額を減額したとしても、評価減となった金額は損金に算入できません。
ただし、棚卸資産に以下のような事実がある場合は、評価損の計上が認められることになっています。

 ①災害により著しく損傷したこと
 ②著しく陳腐化したこと
 ③破損、型崩れ、棚ざらし、品質変化などにより、通常の方法で販売することができなくなったこと

②のケースでは、資産そのものに物質的な欠陥がないが、経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価値が今後回復しないと認められる状況にある場合ということです。
たとえば、いわゆる季節商品で売れ残ったものについて、今後、通常の価額で販売することができないということが、実績その他の事情に照らして明らかである、といったことがこれに相当します。

◎投資した会社が業績不振に陥った際の損失の計上

非上場株式については、
 ①発行法人の資産状態が著しく悪化したこと、
 ②その価額が著しく低下したこと、
この2つの事実によって、評価額の計上が認められることになっています。

①に該当するのは、次のようなケースです。
 1)その有価証券を取得して相当期間が経過した後、
  その発行法人について、以下の事実が生じたこと。
  A 特別精算の開始命令があったこと
  B 破産手続き開始の決定があったこと
  C 再生手続き開始の決定があったこと
  D 更生手続き開始の決定があったこと
 2)期末における発行法人の1株(1口)あたりの純資産価額が、
  その有価証券の取得時における発行法人の1株あたりの純資産価額の、
  おおむね50%相当額を下回ることになったこと。

また、②の価額が著しく低下したかどうかは、期末時価が期末の帳簿価額の50%相当額を下回り、なおかつ、その回復が早期には見込まれないかどうかにより判定することになります。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。