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税務処理の基礎知識

社長所有の土地に会社名義の建物を建てた場合の注意点

社長が自宅以外に所有している土地に、会社の支店を建築するといったこともよく聞かれる話ですね。
今回は、こうしたケースで注意するべきこと、確認しておきたいことを説明したいと思います。

◎社長所有の土地に会社の建物を建てるなら

比較的小さな会社の場合、社長=会社となりがちですね。
社長の土地に支店を建てるのも、会社の事業の一部と考えてしまうことも少なくないのでは?
しかし、社長の所有する土地だからといっても、会社名義の建物を建てるとなれば、税務上、権利金の認定課税の問題が発生する可能性が考えられます。

権利金とは、他人の土地に借地権を設定して建物を建てるときに、賃借人が地主に支払う金銭のことをいいます。
ただし、この権利金を授受する取引の慣行がある地域で、その授受が行われないときは、これらの行為があったものとみなし、税務上では課税がなされることになります。
会社では、権利金相当額の贈与を受けたものと考え、課税されるというわけですね。
これが権利金の認定課税です。

権利金の額は結構な金額になることが多いので、認定課税があると、税金の負担もかなり大変なことになると予測されますね。
ただし、借地人である会社が、地主である社長に相当の地代を支払うか、もしくは「無償返還の届出」を行えば、この認定課税はなくなります。
この場合の相当の地代とは、その土地の更地価格の6%程度の金額となります。

◎土地貸与にかかる納税額を抑えるには

さて、会社が社長に支払う地代ですが、これは会社の経費となります。
しかし、社長が会社から受け取る地代は、社長の不動産収入となるので、社長は確定申告をする必要があります。
土地の価格の6%の地代となれば、かなりの金額になりますので、納税額もかなりのものと予想されますね。
ですから、このケースでは、無償返還の届出をするのがよいと思います。
無償返還の届出とは、借地権を設定した後、借地人(会社)と地主(社長)の連名で、所轄の税務署に「土地の無償返還に関する届出書」を提出することをいいます。
この無償返還の届出書を税務署に提出しておくことで、権利金の認定課税を避けることができます。
また、地代についても、相当の地代より低い金額で自由に決めることができるのです。
社長と会社の間で、土地の賃貸借契約書を作成しておくことも忘れないようにしてくださいね。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。