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税務処理の基礎知識

設備投資や節税にも? 中小企業における税制優遇を理解しよう

中小企業は、日本の経済を支える重要な存在であり、その発展に寄与するためには、様々な支援が必要です。その一つに、税制優遇制度があります。中小企業に対しては、設備投資や節税に関する優遇措置が多数用意されており、これらを上手に活用することで、事業の成長や経営の安定化につなげることができます。しかし、中小企業の経営者や担当者が、税制優遇制度について詳しく知らない場合も多く、制度を活用する機会を逃してしまうことがあります。

今回は、設備投資に役立つ税制優遇や、賃上げによる優遇措置についてまとめて解説していきます。

◎中小企業における税制優遇制度

中小企業を対象にした税制優遇制度は、多数用意されています。以下に具体例をいくつか挙げて見ていきましょう。

・法人税率の軽減

事業年度ごとに課される法人税の税率は通常23.2%です。しかし、中小企業に対しては、所得のうち年800万円以下の部分については15%と軽減税率が課されます。これにより、65.6万円の法人税が軽減されます。

・欠損金の繰越控除

確定申告で青色申告をしている中小企業は、赤字が発生した場合、翌年以降の10年間に渡り欠損金の繰越を行うことができます。これにより赤字を出した翌年以降の10年間の所得にかかる法人税は、黒字額から赤字額を差し引いて計算されます。

・少額減価償却資産の特例

平成18年4月1日から令和6年3月31日までの間に事業のために購入した、取得価額30万円未満の減価償却資産については、合計300万円までを全額経費にすることができます。

・交際費税制の特例

交際費の年間800万円までの部分、または接待飲食費の50%を損金にすることができます。

◎「賃上げ促進税制」とは?

2022年に行われた税制改正により、「賃上げ促進税制」がこれまであった制度より控除額を引き上げる形でスタートしました。

中小企業向け「賃上げ促進税制」は、青色申告書を提出している中小企業が、一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。

「賃上げ促進税制」を活用する企業側のメリットは、大きく二つあります。

一つは「節税効果」です。要件を満たすことができれば、中小企業なら最大40%もの税額控除(算出した法人税額から差し引き)が受けられます。急激なコスト増を避けながらも給与アップを実現することができるため、従業員の待遇改善はもちろん、採用などにも良い効果が期待できます。

もう一つは「人材育成」です。「賃上げ促進税制」の上乗せ要件に教育訓練費があり、この中には、外部への研修委託費や教科書やテキストに掛かる費用、さらには業務に必要な技術や知識習得にかかる費用なども含みます。


中小企業には多くの税制優遇制度がありますが、それらを活用することで税金の払いすぎを防ぐだけでなく、経営においても大きなメリットがあります。例えば、中小企業が利用できる減価償却資産の特例や、所得税の課税対象から外れる「中小企業持続化補助金」などは、経費節減やキャッシュフローの改善につながります。

また、中小企業の業種によっては、地方税や消費税の減免制度もあります。これらの制度を活用することで、経営の安定化や事業拡大につなげることができます。

さきがけグループは、経営革新等支援機関として国に認定されております。中小企業の節税にあたっては、税務顧問や税務セカンドオピニオンといったサービスを行っています。中小企業の節税をお考えであれば、お気軽にご相談ください。