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事業成長への補助金・助成金活用

中小企業経営強化税制の特定経営力向上設備等とは?

予算の問題で、大きな設備導入に踏み込めないという中小企業も多いのではないでしょうか。

中小企業庁の実施する「中小企業経営強化税制」という制度では、一定の条件を満たすと設備の導入に対して税制優遇を受けることができるため、設備投資を検討する企業にとって大きな後押しとなります。

今回は、中小企業経営強化税制の概要とメリット、対象となる設備について解説します。

◎中小企業経営強化税制の概要

中小企業経営強化税制は、中小企業などを対象に事業分野の特性に応じた経営力向上をサポートするための「中小企業等経営強化法」という法律に基づいた代表的な取り組みです。

税制の概要と条件は以下の通りです。

青色申告書を提出する①中小企業者等が、②指定期間内に、中小企業等経営強化法の認定を受けた「経営力向上計画」に基づき③一定の設備を新規取得等して④指定事業の用に供した場合、即時償却又は取得価額の10%(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除を選択適用することができます。

この中でポイントとなるのが②の「経営力向上計画」です。

経営力向上計画とは、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画のことです。計画が認定された事業者は、中小企業経営強化税制をはじめ、計画を実行するための税制措置や金融支援、法的支援を受けられるようになります。

また、計画の策定においては、認定経営革新等支援機関(商工会議所・商工会・中央会や士業、地域金融機関等)によるサポートを受けることができます。

◎対象となる設備とは

この税制の対象となる設備は、以下のものを指します。

・機械および装置:1台または1基の取得価額が160万円以上のもの

・工具、器具および備品:1台または1基の取得価額が30万円以上のもの

・建物附属設備:一の取得価額が60万円以上のもの

・ソフトウェア:一の取得価額が70万円以上のもの(複写して販売するための原本、開発研究用のものまたはサーバー用のオペレーティングシステムのうち一定のものなどは除く)

次に、「特定経営力向上設備等」について解説します。特定経営力向上設備等とは、上記の要件を満たした設備のうち、経営力向上のために必要な設備等のことで、以下の4つに分類されます。

・A類型(生産性向上設備):生産性が旧モデルに比べて、平均1%以上向上する設備

・B類型(収益力強化設備):投資収益率が年5%以上の投資計画に係る設備

・C類型(デジタル化設備):可視化、遠隔操作、自動制御化のいずれかに該当する設備

・D類型(経営資源集約化に資する設備):修正ROAまたは有形固定資産回転率が一定割合以上の投資計画に係る設備

A~Dそれぞれの類型によって、手続きで必要な書類が異なるため注意が必要です。

さらに、導入する設備は新品でなければいけないことや、貸付を行うための資産は税制の対象にならないなどの条件もあります。税制の利用を検討する場合には、手続きの流れや導入しようとしている設備が対象かどうかを事前に確認しておきましょう。

◎最大のメリットは大きな減税や即時償却!

例えば、生産性が旧モデル比1%以上向上する新型の機器を1,000万円で導入する場合には、1,000万円をその年度の損金として即時償却するか、10%である100万円の税額控除のどちらかを選んで適用できます。

即時償却を選んだ場合には、減価償却した場合と比べてもトータルで支払う額は変わりませんが、損金を大きくできるため、初年度に支払う税金が少なくなります。

一方で、税額控除を選択した場合には、固定資産税特例を併用することで、固定資産税を16万円減らすことができるので、税額控除を選択すると最大で116万円を減税することができます。

税制の利用を検討している場合や、どんな設備が対象となるのかが不明な場合には、さきがけ税理士法人にご相談ください。当法人は国に認定された経営革新等支援機関として、経営力向上計画の策定をサポートします。また、税務のプロとして、税制に関する相談や申請まで手厚くご支援いたします。まずはお気軽にご相談ください。