COLUMN

コラム

税務調査への対応策

反面調査とは?守秘義務や調査拒否など知っておくべきポイントについて

どんなにまじめに納税をしていて清廉潔白だとしても、「税務調査官がやってくる」という事象は緊張するものです。できるだけ避けたい、受けたくないと考えるのも、無理はないかもしれません。

税務調査といえば調査対象者が調査される場合がよく話題にあがりますが、納税者自身を対象とする税務調査だけではなく、取引先や取引銀行等に対して実施される「反面調査」というものもあります。

なぜ調査対象者ではなく、その取引先を調査する必要があるのでしょうか?今回は税務調査のなかでも、反面調査に焦点を当てていきます。調査に対する不安は、事前に解消しておきましょう。

◎反面調査とはいったい何?

冒頭でも述べたように、反面調査とは「調査対象である納税者の取引先や取引先銀行に対して実施される税務調査」です。税務調査の一環である事に変わりはなく、税務調査の対象者が「納税を正しく行っているか?」を裏付けることを目的とし、取引先とのやり取りや帳簿・書類を調査します。

税務調査の対象者が必要な書類を確実に提出できれば問題はありませんが、中には用意できない、もしくは提出した書類が納税額が適正である証拠にならないケースもあります。しかし、取引先とのやり取りがあったのであれば、取引先にもその記録が残っているはずです。その記録を確認するために、反面調査を行います。

つまり、反面調査は「情報が不確かである」と判断した場合に行われるものであり、必ずしも脱税を疑われているわけではありません。不必要に不安になる必要はないのです。

ただ、事前に通知を行うと、調査対象者と取引先の間で話を合わせる可能性も考えられることから、反面調査は事前に通知されず抜き打ちで行われることが一般的です。取引先の業務等に影響を与える可能性もあるため、税務調査の対策はしっかりと行っておきましょう、

◎反面調査は拒否可能?

反面調査は「調査対象者への直接の調査では信用に値する情報が得られない」と判断された場合に実施され、税務調査を補完するものです。調査対象者本人の税務関係を調査中に、脱税の事実や疑わしい取引、申告との矛盾、書類の不備などが見受けられた場合にのみ税務調査官の判断で実施されます。

これは国税通則法第72条でも「必要があるときにのみ実施できる」と定められている、税務調査官の正当な権利です。そのため反面調査は正当な理由がない限り拒否することはできません。実際、「納税者の合意や了承なしでの無断反面調査」を争った事例が過去ありますが、その際の判例でも、「調査自体に問題なし」という判決が下っています。取引先に関する調査ですので、守秘義務違反に抵触するのでは、という懸念の声もありますが、法令に基づいて行われる調査に対しては有効ではありません。したがって、守秘義務に該当する書類や情報等を提出しても、違反になることはないでしょう。

もちろん、「必要があるときにのみ」反面調査が可能ですので、例えば「書類や報告に不備が無いにも関わらず調査を迫られた場合」など、正当な理由があるときは反面調査の拒否が認められる場合があります。ただ、正当な理由なくして拒否することは「受忍義務違反」にあたり罰則の対象となる事もしっかりと押さえておきましょう。

反面調査は取引先企業との税務調査を行う都合上、通常の税務調査より尚更不安に感じる方も少なくありません。もちろん反面調査の場合でも顧問税理士に立会いを依頼することは可能です。専門家である税理士が同席することにより、税務調査がスムーズに運びます。

さきがけ税理士法人でも、反面調査を含めた税務調査のサポートを行っております。税務調査の立ち合いや、調査官との交渉等にも豊富な実績がありますので、お気軽にご相談ください。