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消費税と経理実務

比較してみよう!①本則課税のメリット

これまで本則課税と簡易課税について色々お伝えしてきましたよね。本則課税を適用しなければいけない事業者の場合は問題ないのですが、ここでぜひ知っておきたいのは、簡易課税を選択できる事業者にとって、いったいこの2つの方法のどちらが節税になるのかということ。それぞれにメリットがありますので、それをしっかりと把握して最適な方法を選ぶのが大切です。今回は本則課税のメリットについてご紹介します。

◎比較してみよう

おさらいになりますが、本則課税を適用しなければならない事業者は、課税基準期間の課税売上高が5000万円超の事業者ですね。そしてそれ以外の会社、および課税事業者となる会社の設立第1期と第2期は簡易課税を選択できます。本則課税は消費税の原則的な方法で「実際に預かった消費税ー実際に払った消費税=納める消費税」となります。簡易課税は本則課税と計算式自体は同じですが、「実際に支払った消費税」を「預かった消費税×事業別みなし仕入率=支払った消費税」とみなす部分に違いがあります。

◎本則課税のメリット①設備投資や輸出取引の場合

以前ご紹介しましたが、預かった消費税より支払った消費税の方が多くなってしまうケースがありますよね。例えば高額な設備投資等をした年や、消費税のかからない輸出取引をした場合などがそれにあたりますが、その場合は消費税が還付されます。そしてこうした場合に、消費税が還付される場合に簡易課税を選択すると、なんと還付どころか反対に消費税を納税しなければいけなくなってしまうのです。なぜなら、簡易課税は事業別のみなし仕入率を使うので、実際に支払った消費税と関係なく消費税が計算されてしまうためです。したがって、こういった場合は本則課税を選択したほうがよいでしょう。

◎本則課税のメリット②選択の期限がない

本則課税は任意で選択した場合に適用期間の強制がありません。一方で簡易課税は一度選択すると2年間適用が強制されてしまいます。結果、例えば翌年の節税が簡易課税の方ができるからと手続きしてしまったが、翌々年に多額の設備投資をしなければならなくなった、などというケースも生じないとは言えません。すると消費税が還付される可能性がなくなり、結果節税効果どころか税金を多くはらうことになってしまうのです。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。