COLUMN

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税務調査への対応策

どんなきっかけで税務署は無申告に気づく?パターン別に紹介します。

確定申告が済んでいない状態を指す無申告。
確定申告が済んでいないということは納税も済んでいないという事なのですが、これははっきりとした違法状態。
でも「大企業ならともかく、規模の小さな中小企業なら税務署も気づかないんじゃないの?」と思っている方もいるのでは。
確かに日本の法人、個人事業主を合わせた企業数は400万社を超えており、税務署はその1つ1つをつぶさに見ているわけではありません。
しかし、企業として活動しているのであれば、無申告はいつかバレます。
今回は、その無申告がバレるきっかけについてお話しします。

きっかけその1 発注元に税務調査が入った!

建築会社に多いパターンです。
下請けの建築会社であるAが確定申告をせず無申告だったとしましょう。
そんな状態が数年続いたとき、いつも仕事を受注している元請けの建築会社Bに税務調査が入りました。
Bは毎年きちんと確定申告をし、納税も済ませていたので特に何もありませんでしたが、調査の過程で税務調査官に「仕入れ先、外注先、重機のレンタル会社などすべての取引先の名前、住所、電話番号をリストにして提出してくれ」と言われたとします。
実はこの資料、Bの税務調査に使われるのはもちろんですが、そのリストにある会社を調べるためにも使われるのです。

建築業界は、その形態から税務署に目をつけられやすい業界の1つです。
したがって、元受けの税務調査に入った際には、こういったいわば調査リストとも言えるべき資料を持ち帰り、そのリストの会社を精査していくことがあるのです。
この調査につかまった企業はこれまでの納税履歴を調べられ、何か不審な点があれば税務調査に入られます。

さて、Bのリストには外注先としてAの名前が記載されているのに、Aには確定申告が行われた形跡がありません。
こうした経緯で規模の小さなAにも税務調査が入ることになり、結果無申告がバレてしまいました。

例ではわかりやすく元請けを上げましたが、他であってもこれは同じです。
古くなった重機を同業他社Cに売却して数十万円の利益がありましたが、両者ともに小さな会社だから大丈夫だろうとAはこの取引を確定申告に含めませんでした。
しかしCからすれば重機の購入費用は経費、しっかり申告しました。
やがてAに税務調査が来た時のように、Cにも元請け経由で税務調査が入り、取引先のリストからAの納税履歴を追っていくと、どうやらAは売却益を申告していないようだということがバレてしまいます。

もちろんこれは建築業界に限らず、どの業界にも起こりうる調査手法です。

きっかけその2 急に税務調査官から連絡が!

無申告がバレるのは、税務調査か行政指導からです。
いずれもある程度の疑惑を持って連絡してくるものなので、もしこれらが行われるのならこちらも何らかの対策を立てなければなりません。
まずは税務調査と行政指導それぞれを軽く説明します。

税務調査は事前に通知が来ることがほとんどですが、中には事前通告なしでいきなりやってくることもあります。
実はパチンコ店や飲食店、小売店など、現金での取引が多い業種は、税務署の中で重点調査リストに入れられていることがあるのです。
ただ、事前通告なしで調査官がやってきたからと言って慌てることはありません。
税務調査は受けなければなりませんが、正当な理由があれば、調査を後日にしてもらうことができるからです。
「今日は都合が悪いので後日お願いしたい」と言うことを伝え、お引き取り願うことができます。

一方行政指導は電話か文書で来るのですが、電話の場合はその場でいくつか質問されます。
この質問は任意ですが、とりあえず調査官が何に不信感を持っているのか、というところは把握しておきましょう。
と言うのも、税務調査程ではないにせよ、行政指導もある程度不正の証拠をつかんでから行うものなので、何かしらの不備があったということが予想されるからです。
ちなみにこの行政指導で指摘を受けて申告内容を修正したとしても、罰せられることはありませんのでご安心ください。

さて、問題は無申告の場合に税務調査や行政指導を受けた時ですよね。
税務調査官は、各所から集めた情報をもとに、お金の変な動き方を察知して税務調査なり行政指導なりを行います。
無申告なら、どこかからのタレコミや口座への不審などから起こることが多いです。
言い逃れはできない状況なので、このような事態に直面したら正直に話すほかありません。
しかし、一対一で話す前に一度、税理士に相談をすることが大切です。
税務調査の通知が来たらまず税理士に電話、抜き打ちで来ても一度断ってまず電話。
これが税務調査官と接触した時の対処法です。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。