COLUMN

コラム

税務調査対応の基礎知識

税務調査官との間で行われる「交渉」とは?

税務関係の事務というのは本来会社の利益に直接的なつながりを持たないこともあり、経営者様にとって大きな負担となってしまいます。
税理士に一任すれば一気に解消される問題ではありますが、中には税務・経理に至るまですべてをご自身でこなそうとしている経営者様がいらっしゃるのも事実。
そこで今回は、税務調査を税理士に一任するメリットの一つ、「税務調査官との交渉の代行」についてご紹介することで、経営者様の負担軽減に役立てたらと思います。

◎税理士に任せておけば交渉も安心!

すでに経験済みの方はご存知かと思いますが、税務調査には来社して行われる実地調査のほかに、電話での調査も行われます。
この電話調査では、事前に調べた内容と実際に帳簿を見たときの相違点についての質問が行われるのですが、その際に税務調査官との「交渉」が行われることがあります。
この交渉というのは経営者様にとって時間的な負担になるだけではなく、税務調査のプロである調査官の専門用語や話の誘導の仕方によって経営者様の不利な結果に終わってしまうことも多いものです。
しかし事前に税務調査を税理士に一任していただければ、こういった事態は防ぐことができます。
では具体的にどのような交渉が行われているのでしょうか。

税務調査官との間で行われる交渉で一番多いのが、経営者様が経費として計上したものを認めるかどうかというものになります。
事業経費や交際費というのは線引きが明確になされていないということもあり、争点になることが多いのです。
そしてこの交渉の中でも注意すべきなのが、必要な書類が準備できない場合です。
経費の申請には原則、店名・日時・金額・内容が明記された領収書が必要になりますが、時には記入ミスや紛失などの理由によってきちんとしたものを用意できないこともあります。
しかし諦める必要はありません。
意外に思われる方も多いかと思いますが、正確な金額がわからない場合でもきちんと事業経費として認められるような根拠に則った金額を申告することで経費として認められる場合があります。
しかしこの根拠や見積もり作成は一般の経営者様にはハードルが高いと言えます。
税理士がヒアリングなどを通じて金額を推定し、現実的な金額の提示を行うのです。

もちろんきちんと領収書が保管されている場合であっても税理士に任せる方が有利に税務調査を進めることができます。
経営者様が経費として申請しようという項目のチェックをあらかじめ行うことで、否認される確率がグンと減るからです。

こうした経費の中でも、納税者側が調整しやすいと言われている「外注費」と「交際費」は気をつけておきましょう。
額が大きければ大きいほど、調査官の目に留まりやすくなります。
税務調査で聞かれた際、もし請求書を保管しておらず証拠となる書類を提出できないと、架空請求が疑われて反面調査が行われることになる可能性が高いです。
反面調査とは、調査官が実際に取引先や外注先などから話を聞き事実確認を行うことなのですが、これがお世話になっている取引先に及ぶと今後の関係に影響が出かねません。
請求書の保管がきちんとできていない、ということが相手に伝わってしまいますし、取引先の手をわずらわせてしまうわけですから。
これを避けるために、架空請求が疑われた場合には、自分から事実確認の連絡をとりましょう。
反面調査という形ではなく、自分から連絡をしたのであれば、取引先に悟られることなく事実確認をすることも可能です。
税理士がついていれば、取引先に連絡をとるべきタイミング(反面調査をしそうだと感じたタイミング)を判断してもらえますよ。

◎平成28年度の法改正で過少申告加算税の罰則が強化

また、これは交渉とは少し違うのですが、税務調査だけではなく日頃の税務関係の事務についても税理士に一任していただくことの重要性が平成28年度の法改正で高まりました。
というのも、これまでは、過少申告をしていたとしても、調査通知が来てから実地調査までの期間に修正申告をすれば過少申告税は適応されず罰金もかかりませんでした。
つまり税務調査の通知が来てから税理士に依頼、という手順でも過少申告を免れることができたのです。
しかしこれからは、この期間に修正したとしても過少申告税が適用されてしまうことがあります。
つまり、税務調査通知がきた瞬間から過少申告加算税がかけられてしまうので、日頃からの正確な申告がより重要になるのです。

先ほども言ったように日常の税務・経理というのは経営者様にとって負担の大きい作業です。
そんな作業を本来の業務と並行して行っていてはミスも出てきます。
最悪の場合には作業が間に合わず申告できない、という可能性も。
そうなると無申告税というより重い罰金が適用されることになりますのでこれは絶対に避けたいところです。
このリスクを回避するためには、日ごろから税務関連は税理士に一任する、という方法が一番ですよ。