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事業承継の流れと基礎知識

保有株式の相続で起こる「株式の準共有状態」と事業承継

今回は保有株式の相続で起こる「株式の準共有状態」と事業承継についてご紹介します。

例えば、Aさんは会社を経営しており、90%の株主でもあります。Aさんにもしものことがあった場合、その株は相続として妻や子供2人(長男・長女)に分割されるのでしょうか。

結論を先にいうと、Aさんが保有するすべての株が妻や子供たちの「準共有」状態になります。割合としては、妻が2分の1、長男が4分の1、長女が4分の1を保有する状態が生じることになります。このような所有権以外の権利を共有することを「準共有」といいます。
ここで注意したいのは、遺産分割協議が整うまでその割合をそれぞれが「分割して持ち合う」という訳ではないということです。

◎注意!株式の準共有状態には不都合性あり

このような株式の準共有状態では、どんな不都合があるのでしょうか?一番の不都合は、Aさんの場合原則として持ち分の割合に従いその過半数をもって共有者である妻、長男、長女の3人の中から権利を行使する代表者を1人定めて会社に対して通知しない限り、その株式については権利行使をすることができないということです。つまり妻、長男、長女の3人は一心同体。3人とも1人では過半数を占めるわけではないので、それぞれが対立して自分の主張をした場合は代表者を決めることができず、権利を行使することができないのです。
3人が同じ意見や方針でスムーズに代表者を決められれば問題ないのですが、何かで対立してしまえば迅速な経営は難しくなってしまいます。

◎まずは早めの株式継承対策を!

家族間の対立なんて、できれば誰でも避けたいですよね。今まではとても仲の良い家族だったのに、相続の話になった途端に対立やいざこざが生じてしまうということは、悲しいですがよくあることなのです。それどころか会社の経営自体もうまくいかなくなってしまえば、踏んだり蹴ったりの最悪な状態になる可能性も…。それを避けるために一番大切なことは、とにかく現在の経営者であるAさんが、きちんと後継者を決めておくこと。そしてその後継者に対して会社の重大事項を決する特別会議を可決できる3分の2以上の株式を確保できるように、その他協力者を含めて生前贈与や遺言等でAさんの株式を継承しておくことなのです。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。