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記帳や給与計算など経理実務の基礎知識

決算申告を税理士に頼むにあたり、経理担当者がやらなければいけないこと

決算申告というのは、その期にどれだけのお金が出入りし「今の財務状況がどうなのか」を明らかにしたものです。
ただ、会社の営業日でお金の出入りの全くない日というのはないに等しいはず。
もしその毎日のお金の出入りの記録を怠っていれば、積み重なった膨大なお金の移動を、1年に1度大掃除のように会社中の資料を引っ張り出さなければなりません。
決算の申告書を作るにあたってはかなり非効率です。

そこで、日々のお金の管理を逐一記録し、決算申告の時期に慌てることのないようにと雇われているのが「経理担当者」です。
経理担当者の記録したデータはもちろん社内で申込書を作成することが可能ではありますが、多くの経営者様が申込書の作成は税理士に任せるという選択をされています。
ではこのような場合、経理担当者に任されている仕事というのはどのようなものなのでしょうか。
今回は経理担当者がやらなければならないことを、決算申告に焦点を当てて考えてきたいと思います。

◎何よりもまずは資料の用意を!

素人だろうとプロだろうと、申告書を作成するにはまず資料がなくては出来ません。
つまり、経理担当者がまずやるべきことは、「資料の整理」です。
ここで言う資料とはお金の出入りのデータ、つまり帳簿や買掛売掛帳、領収書など具体的な数字の揃っているもののこと。
この作業は最終的に決算書に落としこまれる数字たちを整列させる、いわば第一段階の作業になります。

次に必要になるのが「各種データの会計ソフトへの打ち込み」です。
資料整理によって明らかになった数字たちを実際にソフトに入力していきます。

経理担当者としては、ここまでの作業で十分です。
後は税理士に投げてしまいましょう。

と聞くと、すごく単純で手間もかからなそうに感じてしまうため、「経理担当者をわざわざ雇うくらいなら他の人が兼任した方がいいんじゃ」と思う方もいるかもしれません。
ただこれらは実際にはとても骨の折れる作業で、例えば何の知識もない経営者様がこれをやろうとした場合、事業規模にもよりますが数日間を棒に振ることになりかねません。
会社のトップが利益にならない作業に日を明かすなら、専門の者を雇って日々の経理業務を一括で担当してもらおう、という考えの下に存在するのが経理担当者なのです。

したがって、決算申告に当たり経理担当者がやらなくてはならないことといえば、日々正確な記録と、それが求められたときにすぐ提出できるような管理体制づくりという事になります。
仕組みさえ作れてしまえば簡単だと感じますが、従業員のうち一人でも仕組みのルールを破ってしまうと途端に煩雑になってしまうもの。
その管理も行えれば、経理担当者としては「非常にデキる存在」と言えるでしょう。

◎税理士費用は税理士の仕事が少ないほど安い?

税理士費用というのは基本的にその会社の売上げをベースに考えていきます。
売上げの大きな会社というのはお金の出入りも激しいため、決算申告に必要な作業量も比例して増えるからです。
ただ、たとえ売上げが大きくともある程度のデータがすでに揃えられていて、「後は税理士が計算するだけ」というような状態が出来上がっていればどうでしょうか。
売り上げの小さい会社で資料整理から始めるよりももしかすると作業自体は少ないかもしれません。
その結果、「うちは社内でここまで数字を整理してあるから税理士費用を下げてくれ」という交渉ができます。
逆に言うと、社内の経理担当者はこれを可能にするためにきちんとやるべきことをこなしていかなければなりません。

ただこれは本末転倒になってしまうのですが、経理担当者を年間通して雇用していた場合と日々の資料の管理からすべてを税理士に丸投げしていた場合、費用的に見れば税理士に丸投げした方が安いです。
もちろんケースバイケースにはなってきますので、もし今後経理専門の担当者の雇用を考えているのなら、税理士に丸投げするという選択肢もある、という事を頭に入れておいてください。