COLUMN

コラム

今月のセカンドオピニオン

銀行が行う格付って?

銀行は企業の格付を行っています。その格付とはどんなものでしょうか。


こんにちは。黒川税理士事務所の黒川です。ご紹介で建設業のFさんとお会いしました。

【起業希望のFさん状況概要】

業種・・・建設業

売上・・・約3億円

従業員数・・・15名


■セカンドオピニオンの準備

決算書を拝見すると、明らかに資金繰りが厳しい様子でした。

銀行からの借入額も年商から言って過剰です。

しかしながら「新規の取引先でいいところが決まったので、それまでの運転資金を調達したい」とのこと。

■セカンドオピニオンとしてのアドバイス

運転資金を調達する場合、銀行内では格付が行われます。

これは民間の銀行も日本政策金融公庫など公的金融機関も同じです。

その格付は、融資の可否の70%程度を決めると言われるほど大きな影響を及ぼします。

格付は会社の決算書を元にはじき出されます。ですので決算書はいい数字であるべきです。

基本的には利益が出ていれば格付は上がります。

ですので資金調達が必要な会社は節税はやりすぎず、ある程度は税金を納める必要が出てきます。


融資審査の70%が格付、いわゆる決算書で決まってしまうということは、

どれだけ融資審査の面談で力説しても30%しか効果がないということになります。

「ウチは素晴らしい商品を扱っている」とか「取引先がとても良いところだ」と力説しても

30%分の材料にしかなりません。

格付を上げるためには、地道に利益を出して借り入れを返済し財務基盤を良くしていくしかありません。

よく「銀行から借り入れる裏ワザ」みたいな本が出ますが、裏ワザというものは存在しません。


■結果


Fさんは決算書の重要性を理解され、利益体質に持っていけるよう動くとのことでした。

また、今までは税金を払うのが嫌で節税で利益を圧縮したりもしたけど、今後は慎重に考えるとのこと。

格付が上がれば安い金利で資金調達できます。節税するよりもお得かもしれませんね。

また資金調達に不安がなくなるので、資金繰りを気にせず事業に専念できることでより良い結果を出せることでしょう。

私たちは税金のプロなので無駄な税金を支払うことの無いようにお手伝いしますが、成長している会社は節税をした上で、

しっかりと利益を出し納税しているものです。これが会社経営の王道だと思います。


■経営計画の重要性

また、財務基盤を充実させるためには5か年計画など経営計画を立てることが有効です。

目標を立て経営計画として数字を作り、

その計画の数字と、実績の数字をチェックする。

ズレがあれば改善する。これで目標に近づけます。


よく「5か年計画を立てたって計画通りには行かないでしょ。半年先だってわからないのに」とおっしゃる方がいます。

しかし貯金するときなんかも「100万円貯める!」など目標を決めますよね。会社経営も同じです。

目標を達成できそうかどうかチェックする。達成できなそうであれば、何が原因か考える。これが大事です。


5か年計画を立てた時点で、「2年後に資金ショートする」などという結果が出ることもあります。

そうなってしまった時は社長さんもびっくりされます。

社長さんも頭の中では計算をされているのですが、頭の中のそろばんでは限界がありますし、

遠い未来のことまでは考えられません。

そういうシビアな結果をもとに「原価率を下げればよいのか」「売上の回収を早めればよいのか」

「こちらの商品の販売に力を入れようか」などなど、会社の方針を検討することで資金ショートせずに済むのです。

様々な方策を練った結果、「資金ショートせずにすむ」というシミュレーションになった時、社長さんは安心されます。

そして、何に力を入れていけばよいのか、方向性を理解されます。

これが経営計画書の効果です。