COLUMN

コラム

今月のセカンドオピニオン

税務調査のシーズンまっただ中~税務調査のご相談が多い季節です~

税務調査が入ってしまい困っているというW社長さんをご紹介いただきました。

この会社には顧問の税理士さんがついていて、税務調査当日は
この税理士さんが立ち合いました。

しかし、税務調査の終了に向け「どう対応するか」、「どう決着をつけるか」
など明らかに頼りないそうです。
「会社の味方ではなく税務署の味方になるのではないか」などという疑問も生じたそうで、
弊社へのセカンドオピニオン依頼となりました。

【 事業概要 】

業  種・・・サービス業 売上見込・・・約3億円
従業員数・・・約25名(パート・アルバイト含む)


■セカンドオピニオンの準備

税務調査の当日の話を聞くと、税務調査官の言いなりで、
けっこうやられ放題だったようです。

例えば、パソコンの中身を見られ、会社側に不利な資料を発見されたそうです。
税務調査官がパソコンを見たいと言ってきたときには断れば
それでOKですが。

断れば調査官は「なぜ見せないのですか?何かやましいことでもあるのでしょう」
なとど言うと思います。
しかし「見たい資料があればプリントするので言ってください」と言っておけば
パソコンを触られません。

また社長個人の通帳まで見られたそうです。

不正な入金などが無いか調べたかったのだと思いますが、これも断れます。


なぜなら会社の税務調査は、社長個人は関係ありません。
(もちろん見せたいなら見せてもOKですけど)

個人通帳からは別に何も発見されなかったそうですが、このような話を聞くだけでやられ放題だったことがわかります。

そして後日、顧問税理士から社長あてに電話がかかってきました。
「追徴税額900万円とのことです」と。

顧問税理士は「指摘を認めて修正申告してしまいましょう」と言ってきたそうです。

しかし社長は「こちらにはこちらの言い分があるので認めたくないし、そもそも900万円も払えない」とのこと。

■セカンドオピニオンとしてのアドバイス

①売上の漏れ・・・追徴税額は約400万円

期末近くの売上で、入金が2か月後。次の期の入金だったので、経理担当も忘れていたし税理士も見逃していたそうです。
これはどうしようもありません。税務調査官の指摘は飲むしかないです。

②奥さんへの給与・・・追徴税額は約200万円

奥さんに年間で約500万円の給与を出しています。
税務調査官は「勤務実態が証明できない」と言ってきています。

社長も税理士も反論できなかったようですが、これはグレーゾーン。
反論の余地ありです。

③領収書の無い経費・・・追徴税額は約200万円

大きな現金での支払いがありましたが、その領収書がありませんでした。税務調査官は否認してきましたが、これも大いに反論の余地ありです。

④自宅家賃の計上の否認・・・追徴税額は約100万円
自宅家賃と自宅の光熱費を経費計上していました。これもグレーゾーンです。

結論から言うと、①は反論できません。「次から気を付けます」と言って謝るしかないです。

②の奥さんへの給与は認めさせることはできます。

③の領収書の無い経費も認めさせることはできます。何に使ったのか説明します。

⑤の自宅家賃は全部を認めさせることは苦しいです。

しかし少なくとも30%くらいは認めさせることはできそうです。

■まとめ

税務調査ではあまり知られていませんが、
下記に2点は会社にとって大きな大きなカードです。

【調査官は修正申告を望んでいる】

税務調査の決着には色々ありますが、税務調査官は修正申告で決着してほしいと思っています。
なぜならその他の手続だと上司(税務署長まで)
も巻き込み面倒だからです。
修正申告とは、社長と税理士が納得し、修正申告書を作りハンコを押して
完了するものです。
ですので、社長か税理士が「納得できないので修正申告はしない」と言うと
税務調査官は困ってしまいます。

【立証責任は税務調査官側にある】

税務調査では立証責任は税務調査官側にあります。グレーゾーンについては「白であることを社長と税理士が立証する」のではありません。

「黒であることを税務調査官が立証する」のです。

上記二つの強みを踏まえて交渉する必要があります。

そうすると、税務調査官はよく「では取引先や従業員さんに聞いてみようと思います」
などと社長が困りそうなことを言ってきます。

そしていろんなことを天秤にかけるような感じで交渉してきます。

まあ、その辺は話の仕方で何とでもなるとして、グレーゾーンでは断固とした
主張をすべきです。
この案件では900万円と言われていた追徴税額を550万円まで減額できました。

550万円は3回分割で納付することとなり、一件落着。
社長のお喜びの様子がうれしかったですね。