COLUMN

コラム

今月のセカンドオピニオン

経営計画書は経営には必要か?

世の中の会社で経営計画書を作っている会社は少数派。なぜ少ないのか。
経営計画書はどのように活かすべきか?


先日、弊社主催のセミナーにIT事業を経営するS社長さんがお越しになりました。

 【事業概要】
 業種・・・IT事業
 売上・・・約7,000万円
 従業員数・・・約12名

■セカンドオピニオンの準備
社長さんはご自身で既に経営計画書をエクセルで作成されていました。
拝見するととても緻密な内容で素晴らしいと思いました。
しかし、年初に作成しているだけで特に利用はしていません。
「経営計画書をどの様に活かせばよいものか?」とのことでした。

■セカンドオピニオンとしてのアドバイス
経営計画は会社のPDCAサイクルを回すために必須です。

経営において
「Plan…計画、Do…実行、Check…点検、Action…改善」は重要です。

「経営とはPDCAサイクルを回し続けることだ」と言う方もいます。
計画し、実行してみる。PとDです。ここまではやりやすいと思います。
しかし、ここで終わってしまう会社がとても多いです。
特に創業期で社長が走り続けている会社では。
実行してみて点検し、計画とズレがあれば直ちに改善する。
これは絶対に必要です。
そしてその改善案を改めて計画に盛り込み、計画の達成に向けて修正します。

日常業務で忙しいと、点検することなく次の計画実行に行ってしまうんですね。
それではダメです。
仮に、当初たてた計画よりも大幅に売上が伸びず、
資金繰りが厳しくなったとします。
売上も伸び悩み、資金繰りも厳しさを増してきた時にこそ、
「なぜ売上が伸びなかったのか」をしっかりと検証することが必要です。

そして売上が伸びなかった原因を突き止めることが出来れば、
原因に対して手を打つ事ができ、手を打つ事ができれば、
結果売上も伸びてくるはずです。
この点を次回の計画に活かさなければなりません。

また、売上が伸びだとしても資金繰りが厳しいのであれば、
資金を回すためにどうするかを考えなければなりません。

資金繰りの改善には下記のような案があります。
「売上数量の増加」「売上単価の値上げ」「新商品の取り扱い」
「新規取引先の開拓」「仕入れ単価値下げ」「在庫減少」
「現金回収率増加」「売掛金の回収を早める」「前受金をもらう」
「手形の割引」「現金支払いを減らす」「買掛金の支払いを伸ばす」
「設備投資延期」「設備売却」「借入する」「借入金の返済延長」
「従業員削減」「賞与削減」「福利厚生見直し」
「固定費の削減」など。

どれを選択するかは社長の意思によりますが、
その選択がどの程度、資金繰りに影響を及ぼすかをきちんと把握し、
早めに資金対策を打つ必要があります。

P計画とD実行の後の実績をたえずC点検し、
上記の点を踏まえてA改善を実施すること。
経営計画を活用して会社のPDCAサイクルを回すことで、
確実に経営は良くなります。

■結果
S社長には経営計画作成と、そのあとに続くPDCAサイクルの重要性を
理解していただけました。
経営計画とは未来予測ではなく、目標設定です。

会社の将来像を設定すれば行動が明確になります。
行動が明確になれば社長の時間の使い方が変わります。選択と集中です。

社長が変われば社員が変わります。会社が変わります。
経営計画を作成しPDCAサイクルを回すことは、
間違いなく会社の成長につながります。

経営計画は社長が経営に本気になるための素晴らしいツールです。