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相続対策・相続税務の基礎知識

あなたの相続税には申告義務がある?申告期限を過ぎた場合はどうなるの?

 相続税の申告期間が過ぎてしまったり、申告自体をしなかったりした場合はどうなるのでしょうか。生命保険の相続など意外と身近にある相続の申告義務について解説します。

◎どのような場合に、相続税の申告が必要になるのか

 さまざまな税金がある中で、言葉自体はよく聞くものの、あまり馴染みはない税金のひとつである相続税。そもそも相続税とはどういったものかご存じでしょうか。

相続税とは、個人が亡くなられた方から相続などによって財産を取得した場合に、その取得した財産に課される税金のことです。消費税や所得税などの身近な税金に比べると、経験する機会が多くないことから、どのような場合に申告が必要なのかはあまり知られていません。ただ相続税ももちろん、申告を行わないと無申告加算税や延滞税がかかります。そこで今回は、相続税の申告が必要なケースと必要でないケースをそれぞれご紹介します。

◎遺産に係る基礎控除とは

 相続税は、「課税価格の合計額」、つまり相続財産などの合計額が控除額を超える場合には申告が必要です。まず、控除の中でも重要な「基礎控除額」についてご紹介します。

基礎控除は以下の式によって算出できます。

「基礎控除額」=3,000万円+(600万円×「法定相続人の数」)

法定相続人とは、相続を受ける人のことで、多くの場合には亡くなられた方の配偶者と子供(子供がいない場合には父母、子供も父母もいない場合には兄弟姉妹)が当てはまります。

例えば、亡くなられた方に配偶者と子供が2人いる場合には法定相続人は3人なので、

「遺産に係る基礎控除額」=3,000万円+(600万円×3)=4,800万円

と計算し、基礎控除額は4,800万円となります。この場合、相続財産が4,800万円以下であれば相続税の申告は不要となります。

◎申告が必要ではない控除

 基礎控除の他に、手続きなしで適用される控除も存在します。基礎控除額に下記の控除額を合わせた額が、相続財産などの合計額を上回れば、相続税の申告は必要ありません。

・未成年者控除

相続を受ける方が20歳未満の場合には、20歳に達するまでの年数1年につき10万円が控除されます。

・障害者控除

相続を受ける方が障害者の場合、85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障害者の場合は20万円)が控除されます。

・相次相続控除

今回の相続開始前10年以内に、亡くなった方が相続を受けていて、相続税が課税されていた場合に、今回の相続税から一定の金額が控除されるという制度です。
例えば、祖父が亡くなった際の相続を父が受けていて、父に相続税が課税されていたケースで、祖父の死亡日から10年以内に父が亡くなった場合、子が受ける相続税額から一定の金額が控除されます。

◎申告が必要なケース

 前項で紹介した控除に加えて、下記の控除や特例を利用する場合には相続税の申告が必要となります。

・配偶者の税額軽減

亡くなられた方の配偶者が実際に取得した遺産額が、基準の金額までは配偶者に相続税がかからないという制度です。

・贈与税額控除

亡くなられた方の死亡日からさかのぼって3年前までに受けた贈与財産の価額を相続財産として加算し、その分の贈与税が相続税の計算の際に控除されるという制度です。相続開始前3年以内に財産の贈与を受けていた場合には、基本的に申告が必要です。

・小規模宅地等の特例

亡くなった方の居住や事業のための土地など、要件を満たす土地の相続を受けた場合に、相続税を大幅に減額できる制度です。

これらに該当する場合、申告をしないと必要以上の税金を支払うことになるので、ご自身が該当しているかどうかをしっかりと確認しましょう。

 このように相続税にはさまざまな控除や特例等が係わってくるため、計算や手続きが複雑となる場合が多いものです。また、遺言書がある場合はこの限りではありませんので、さらに考えなければならないことが増えます。どの控除や特例を利用できるか知りたい、手続きについて不安な点がある等、相続税についてお悩みがある際はお気軽にさきがけ税理士法人へご相談ください。