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コラム
例えば、10年ほど前に居住用財産の買換え制度を使って5000万円で取得した自宅を、3000万円で売却することとします。この譲渡損と給与所得との損益通算を考えていたにも関わらず、逆に譲渡益が計上され譲渡所得に課税されるかもしれないという指摘を受けてしまいました。これはなぜでしょうか。
過去の特例適用によって少額の取得費が引き継がれており、売却することによって多大な譲渡所得が生じることがあるからです。
相続・贈与などによって、取得した資産については、通常被相続人の(贈与者)の「取得費」も「取得の日」も引き継ぎます。結果として「取得費」の引継ぎにより含み益や含み損の引継ぎが行われます。さらに「取得の日」の引き継ぎにより、相続(贈与)後、すぐに売却しても長期譲渡となることも多くなります。
買換えや交換などによって取得した資産については、過去に適用を受けた特例によって、あるいはその時期によって「取得費」と「取得の日」が引き継がれる場合と引き継がれない場合があります。引継ぎの有無によって長期譲渡か短期譲渡かが変わることもあります。
・居住用財産の買換え…
現行:譲渡資産の取得費→○ / 譲渡資産の取得の日→×
昭和44年以前:譲渡資産の取得費→○ / 譲渡資産の取得の日→○
・固定資産の交換…譲渡資産の取得費→○ / 譲渡資産の取得の日→○
・事業用財産の買換え…
現行:譲渡資産の取得費→○ / 譲渡資産の取得の日→×
昭和44年以前:譲渡資産の取得費→○ / 譲渡資産の取得の日→○
・既成市街地等内の立体買換え…譲渡資産の取得費→○ / 譲渡資産の取得の日→×
・収用買換え・交換…譲渡資産の取得費→○ / 譲渡資産の取得の日→○
・宅地造成契約に基づく土地の交換等…譲渡資産の取得費→○ / 譲渡資産の取得の日→○
・大規模な住宅地等造成事業に係る交換等…譲渡資産の取得費→○ / 譲渡資産の取得の日→×
・法律の規定に基づかない区画形質の変更に伴う土地の交換分合…譲渡資産の取得費→○ / 譲渡資産の取得の日→○
「取得の日」が引き継がれず短期譲渡所得となった場合、所得税の税率が30%、住民税が9%と長期譲渡所得のものと比べてほぼ倍となるので注意が必要ですよ。なお、これらの税は確定申告を経て確定となりますが、その際に特例を使い節税できることもあります。特に居住用財産に関する特例は様々ありますので、ぜひ活用していきたいところ。しかし、どこから調べたら良いのかわからない方もいらっしゃるでしょう。当事務所では、「確定申告・丸投げ専門サービス」をご用意しております。あなたの確定申告、税務のプロにお任せして安心されるのも一案です。
※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。