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資金調達の基礎知識

債務者格付け~概要・ 債務者区分

債務者格付けという言葉を聞いたことはあるでしょうか。銀行、信用金庫などが行う、融資先企業の格付けのことをいいます。

この格付けにより、取引内容が変わってきます。
より上位に格付けされるほど融資が受けやすく、金利も低く設定されます。
一方、業績が悪化して格付けが下がると、新規融資が受けにくくなり、金利は高くなります。

銀行が自己査定を行う際、金融庁から示されている信用格付けに基づいた債務者区分を参考にしているので、これを理解しておけば、自分でもおおよその判断を行うことができます。
自己査定を行う目的とは、債権者区分に応じて相当の貸倒引当金(※)を計上することで、銀行のもつ貸付債権を正しく評価し、銀行の経営状態を明確にすることにあります。
つまり、貸付先企業の格付けが下がると、相当の貸倒引当金を積み増す必要が出てくるわけで、銀行自身の財務内容にも悪い影響をおよぼしてしまうのです。

そのため、貸付先企業には1社でも多く、高い格付けにいてもらったほうがよいということになるので、銀行は債務者格付けを重視しているのですね。

※貸倒引当金→金銭債権に対する将来の回収不能見込額を見積もって計上するもの。銀行は、融資先企業の返済能力を独自に判断(自己査定)し、融資の回収不能に備えて貸倒引当金を計上する。

◎債務者区分について

債務者区分は、次の6段階に分かれています。

●正常先
業績が良好であり、財務内容にも特に問題がない貸付先企業です。
貸倒引当率は0.2%程度で、通常に融資が受けられる状態ですね。

●要注意先
業況が低迷・不安定な状況だったり、財務内容に問題がある債務者などがこれにあたります。
貸倒引当率は5%です。
融資の実行は可能ですが、無担保で借せるかどうか、判断がわかれる状況にある企業ですね。

●要管理先
要注意先のうち、元金または利息金の支払いが3カ月以上延滞している債務者などをさします。
貸倒引当率は15%程度になります。
この場合、ほぼ新規融資は見込めないといえます。

●破綻懸念先
経営難の状態にあり、今後破綻に陥る可能性が高いと思われる債権者をさします。
貸倒引当率は75%程度です。

●実質破綻先
法的な経営破綻にはなっていないものの、深刻な経営難の状態にあり、返済の見通しがないなど、実質的に経営破綻に陥っている債権者です。
貸倒引当率は100%になります。

●破綻先
法的・形式的に破綻している債権者です。
貸倒引当率は100%です。

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