記帳や給与計算など経理実務の基礎知識

海外の家族に仕送りをしている場合の手続きについて

Fotolia_53146474_XS.jpg海外に住んでいる親族への仕送りをしている場合、ある一定の要件を満たしていれば、その親族へ仕送りを送っている納税者の扶養親族とすることができます。
扶養親族はその納税者の扶養控除の対象となり、所得税が控除されます。
また、仕送りしている相手が配偶者であった場合は、扶養控除ではなく配偶者控除あるいは配偶者特別控除の対象となります。
平成28年から、その親族を扶養にするために提出しなければならない書類が明文化されました。
その手続や、親族を扶養にするための要件について解説します。

◎そもそも扶養親族とは?

扶養親族の対象となる人は、以下の全ての要件に該当している必要があります。

1.配偶者以外の親族、里子、市町村長から養護を委託された老人である
2.納税者と生計を一にしている
3.年間での合計所得金額が38万円以下である(給与を支払われている場合は、年間の給与収入が103万円以下である)
4.青色申告の専従者としてその年に給与をもらっていない、または白色申告の専従者でない

配偶者以外の親族とは、6親等内の血族および3親等内の姻族のことです。
その範囲の中の親族を扶養親族とすると、所得税の「扶養控除」を受けることができます。
例えば、「103万を超えた金額を稼ぐと親に怒られる」という話をアルバイトの学生等から聞いたことはありませんか?
その怒られる理由は、扶養控除の対象からはずれてしまうからなのです。

◎海外に住んでいる親族を扶養親族にするためには

海外に住んでいる親族を扶養親族とし、扶養控除の適用を受けるためには、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」等の申告書を給与の支払者に提出します。
平成28年からは、その申告書に「親族関係書類」や「送金関係書類」も一緒に提出または提示しなければならないこととされました。
ではこの「親族関係書類」や「送金関係書類」とは一体どの書類を指すのでしょうか?

<親族関係書類>
その名のとおり、海外に住んでいる親族が親族関係にある、ということを証明する書類です。
分かればどんなものでもいいのではなく、あくまで国または地方公共団体が発行するものとなり、例えば戸籍表や住民票のようなものが該当します(国によって異なります)。
また、その書類が外国語で作成されている場合は翻訳文が必要となります。

<送金関係書類>
その親族に対して仕送りをしたという実績を証明する書類です。
今回の改正で、一番影響が大きな部分がこの<送金関連書類>となります。

というのも、送金関連書類は「居住者がその年において国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするもの(こちらも外国語で作成されている場合には、その翻訳文が必要)」となります。
そして、今回、その書類として

① 金融機関(注)の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引により居住者から国外居住親族に支払をしたことを明らかにする書類
② いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、国外居住親族がそのクレ
ジットカード発行会社が交付したカードを提示等してその国外居住親族が商品等を購入
したこと等により、その商品等の購入等の代金に相当する額の金銭をその居住者から受
領し、又は受領することとなることを明らかにする書類
※国税庁のページより引用

と公的な書類での提出が明文化されました。

もちろん、海外に扶養家族がいるという方便を使い、この制度を悪用して送金をするために銀行やクレジットカード会社等の金融機関を介さずに、現金を直接本国へ持ち帰っていた人もいるかもしれません。
しかし、実は真面目に扶養家族へ送金をおこなっている人でも、ほとんどの人が現金を直接本国へ持ち帰り、手渡しをしているのが現状です。
ここには、銀行やクレジットカード会社等の金融機関を経由して送金するには手数料が高いからという理由があります。
頑張って家族のために稼いだお金を少しでも多く仕送りに回したいのであれば、手数料などのある種無駄とも思えるお金を少しでも少なく抑えたいと思うのは人間の性だと思います。
しかし、今回の改正で銀行やクレジットカード会社等の金融機関が発行する送金が分かる書類の提出が明文化された以上、今後、その形式を取らずに送金を行った場合は扶養控除として認められないという事例が発生してくることでしょう。

また、扶養親族の要件の一つに「納税者と生計を一にしている」というものがあります。

つまり、海外に住んでいる親族を扶養に入れるためには、送金の目的が「生活費又は教育費に充てるための支払」である必要があります。
多すぎる送金ももちろんですが、少なすぎる送金の場合でも、「送金の目的」を明確にしていく必要が今後、さらにでてくるかもしれません。

送金関係書類に関しては、いまだにOKとNGの基準が曖昧な部分があります。
しかし今後事例が増えていくと、基準が明確になり、税務署や国税局のチェックが厳しくなるか可能性があります。
税務調査で注視されることになるかもしれないので、今は大丈夫だからと慢心せずに、親族関係書類や送金関係書類の提出をもとめられた時の準備は、少しずつでもしっかりと進めていく必要があります。
また、「親族関係書類」や「送金関係書類」の保管期限も明確にはされていませんが、扶養控除等申告書などの申告書は、法令により、給与等又は公的年金等の支払者において7年間保存することとされていますので、送金関連の書類も大変かもしれませんが保存しておくことをおすすめします。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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