相続対策・相続税務の基礎知識

「物納」と「相続財産の売却による納税」の有利な方を採用するための比較ポイント

今回は、「物納」と「相続財産の売却による納税」の有利な方を採用するための比較ポイントについてご紹介します。

例えば、Aさんは相続により取得した土地を使って相続税の納税を済ませたいと思い、とりあえず物納申請をしてあるとします。物納の場合にはその資産にどんな含み益があったとしても譲渡税は生じないので、相続税の納税資金をつくるために売却するよりも、物納の方が有利とAさんは聞いたようですが、これは本当でしょうか。

この場合、いずれが有利になるかは相続後の地価の状況、取得費加算の効果等によって異なってきますので、総合的な比較検討が必要です。

◎比較検討事項

①物納については譲渡税は生じませんが、超過物納の場合にはその超過部分の譲渡があったものとして譲渡税が生じます。ただしその超過部分の譲渡は「国等に対する譲渡」となりますので、一般の譲渡税率20%ではなく「優良住宅地の造成等のための譲渡」として軽減税率(2,000万円までの部分については14%)を使うことができます。
②物納の場合の収納価額は、基本的には相続開始時の時価(相続税の課税価格の合計の基礎となった価額)となりますので、地価下落時には物納が有利になるケースが多くなります。
③相続財産を一定期間内に譲渡した場合には、相続税の取得費加算の適用を受けることができますので、ケースによっては譲渡税が生じないこともあります。
④物納を取り下げて現金納付(延納)に切り替えた場合には、期間に応じて利子税の納付が必要となります。

これらを総合的に比較したうえで物納とするか、物納を撤回して売却するかを検討すべきです。

◎物納と物納を取り下げて売却した場合の比較

①物納の場合
 ・収納価額は相続時の相続税評価額
 ・物納適格とするための費用が発生
②物納を取り下げて売却した場合
 ・売価は譲渡時の価格
 ・利子税、譲渡税(取得費加算等、住居用財産の譲渡特例等、売却損の場合の損益通算などの効果あり)、仲介手数料、譲渡の申告手数料が発生
これらの差し引きが最終的に納税に充てられる金額となります。

手持ちの現金がないからと物納という選択肢をとるのは、安易かもしれないと今回のお話で気づいていただけたなら、幸いです。相続税は工夫次第で節税ができます。その工夫のためには専門的な税務知識と、最新の税務事情を把握した上で、相続財産の適切な取り扱いを判断できる判断力が必要になりますが、これらは税理士事務所にご相談いただければ的確に得ることが出来ます。黒川税理士事務所では、特に相続関連二特化したご相談専門機関として「相続手続き支援センター」を立ち上げておりますので、相続に関する疑問・質問・悩み・不安があれば、まずはお問い合わせいただければと思います。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

ページTOPへ