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税務調査への対応策

これは大丈夫?これはNG?節税と否認リスクについて①生命保険

節税対策のひとつとして、高額な生命保険への加入を検討する人もいるかと思います。
ところが、多額の保険料の生命保険に加入して節税すると、税務調査では否認されるということがよくいわれていますね。
本当に、高額な生命保険で節税すると否認されるのでしょうか。
これから生命保険へ加入しようとしている人にとっては、気になるところですね。

今回ご紹介するのは、多額の生命保険料を支払うことで節税しながら、納税者が勝ったという事例です。

◎生命保険加入による節税が否認されなかった事例

役員、従業員を被保険者とするがん保険、逓増定期保険に加入したという事例でした。
損金算入前の所得の50%超を保険料で減額しているという状況に対し、税務署が主張してきたのは、次のようなものでした。

〈税務署側からの主張〉
①不当な税負担の減少である
②被保険者の給与額に比べ、保険料が異常に高額となっているため、必要性、経済合理性が認められない
③被保険者に、正社員以外のパート社員も含まれている
④被保険者の一部が退職した場合、その事業年度中に解約していない
⑤保険代理店が作成した「決算対策シミュレーション」に節税効果などが記載されているので、税負担の軽減を目的に契約締結されたものである
⑥福利厚生が目的とはいえない

しかし、国税不服審判所では、次のような判断を下しました。

〈国税不服審判所の判断〉
①「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されたもの」に該当する
②法人税が減少していたとしても、不当な税負担の減少にはならない
③従業員が退職した期に解約していないのは、解約メリットを考えてのことであって経営判断の1つなので、これをもって福利厚生目的ではないとはいえない
④同族会社の行為計算の否認は適用できない

④の同族会社の行為計算の否認とは、「同族会社の場合、税金の負担が不当に減少している行為は、法律的に具体的規定がなくても否認できる」というものです。
中小企業の多くは同族会社ですから、これに該当した場合の対応方法には注意が必要ですが、上記の事例では適用できないという判断となっています。

税理士の立場として、黒字の会社から生命保険加入について相談を受けることが少なくありませんが、多額の保険料を払って節税しながらも、納税者が勝った事例があるので、必要性を踏まえ加入を検討する価値がありますね。

なお、今回ご紹介したような生命保険料における節税の判例の知識は、あれば税務調査の段階でも有利に動けるものです。
ただしもちろん調査官も高い法律知識を持っていますので、税務調査に確実に対応をするには、税務調査経験が豊富な税理士に立会いを依頼するのが効果的といえます。
手前味噌ですが、当事務所の「税務調査の緊急医」サービスには、税務調査に実績のあるスタッフで構成された税務調査専門チームがあります。
また、国税・税務署OBのスタッフもおりますので、調査官の目線も熟知しております。
税務調査対応にお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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