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税務調査対応の基礎知識

税務調査ではどんなことが行われているの?

まだ起業したてで税務調査を受けたことがない人や、管理部門に配属されて間もない人にとって、税務調査の実態というのはなかなかイメージしづらいものです。
しかし税務調査の通知はある日突然、しかもいつかは必ずやってきます。
予備知識がないとひたすらうろたえるばかりでどんどん相手のペースに飲み込まれていき、やがては痛くもない腹の内まで探られて結果自分が不利な結果に終わってしまう、なんていうことになりかねません。

「敵を知れば百戦危うからず」というように、その具体的な内容をしっかり知っておき、来るべき時に備えるというのは税務調査においてとても重要です。
そこで今回は、税務調査の流れから具体的にどんなことを聞かれるのか、というところまでをお伝えしようと思います。
このコラムを参考に税務調査に対するイメージをきちんと持ち、やがて来る調査を上手に乗り切れるようにしてください。

◎「税務調査官が本気かどうか」が時期でわかる?

まず税務調査の時期について。
これには決まった期間というのはなく、一年を通して行われています。
なので、今なら税務調査の通知は来ないから安心して大丈夫、という時期はありません。
ただ税務調査が行われる時期から、調査官の本気度をうかがい知ることはできます。

税務調査官の本気度が一番高いのは9月から12月にかけての調査です。
これは税務調査官の一年を知ればおのずと見えてくること。
全国の税務署では、慣例として7月10日が異動日となっています。
その異動から7月末日までの日にちをかけて調査先を選定、順次調査に入っていくのですが、ここで重要になってくるのはいくら税務調査官といえどもサラリーマンだということです。

勤め人には付き物の「査定」と「ノルマ」というものが、当然彼らの本気度にも大きく関わってきます。
通常、税務署の査定は年度内ではなく年内で締められるため、12月までに行われる調査には高評価を得るために税務調査官も本気で向かいます。
逆に年を明けてからの調査は件数のノルマをこなすために行われるものなので、気を抜いても大丈夫とまではいきませんが、本気度は低いです。
一般的に税務調査官のノルマ件数は1年で20件ほどだといわれています。

◎税務調査が始まってからの流れ

では実際に税務調査が始まるとどんなことが行われていくのでしょうか。

税務調査の最初にまず聞かれるのは事業概況です。
「なぜこの業界に入って起業しようと思ったのか」など、およそ調査には関係なさそうな質問も含まれていますが、ここで気を許してはいけません。
相手はプロです。こうした関係のないところから話を巧みに誘導したり、突っ込むべきポイントを探ったりしているので、余計な情報は話さないようにしましょう。
「聞かれたことにだけを淡々と答える」ことを心がけてください。

事前調査が終わると、いよいよ税務調査官が来社しての税務調査に入ります。
ここでは実際に帳簿や請求書を見られたり、様々な質問をされたりすると思いますが、堂々と、かつ簡潔に答えることを心がけてください。
質問に答えるときに態度が不自然になったり目が泳いだりしてしまうと、調査官が疑いの目を向けるきっかけになります。
自分はそんなことにならないから大丈夫、と思っていても初めての税務調査は緊張してしまうものです。
緊張感を持ちつつでも、不自然にはならないようにしてください。

その後は不明点があれば主に電話でのやり取りになるのですが、来社しての調査が山場でこれは後処理、という認識で行うと痛い目を見ます。
むしろこの応答で調査官は疑問点を深堀してくるので、より気を引き締めなければなりません。
ここでは、口頭で聞いた会計の内容を書類と付き合わせて調査が進められます。
最初に聞かれた事業概況の話と帳簿との矛盾点なども指摘されることがあるので、事前調査からこの電話での調査まで一貫した対策が重要になるのです。

実際にあった事例を紹介しましょう。
法人ではなく個人事業主の場合、事業用や個人用など、複数個の口座を持っていることがほとんどです。
もちろん実際にどんな口座をどれだけ持っているかを調査官は知りません。
しかしその人は最初の事業概況の段階で調査官に気を許してしまい、聞かれてもいない自分が持っている口座の情報を明らかにしてしまったのです。
いざ調査官が帳簿と突き合わせてみると、その時聞いた口座の情報がない。
結局その人は口座の情報を意図的に隠したのではないかと調査官に詰められる結果となってしまいました。
「口は災いのもと」という言葉は、税務調査においては比喩でもなんでもないのです。

税務調査を通しての注意事項としては「聞かれたことに淡々と答えていく。それ以外のことは話さない」という意識だと言えるでしょう。
一昔前のイメージとは違い、調査官の中には人当たりのいい人が多くなっています。
しかし、繰り返しますが相手はプロです。
余計な情報を与えて相手に付け入る隙を与えないようにしてください。

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