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税務調査対応の基礎知識

不正なお金の流れは発覚します。減価償却資産の取得価額否認事例について

今回は税に関する事例として「減価償却資産の取得価額の否認事例」について紹介していきますね。

◆とある事例

運送業を営む会社Aが、取引先の自動車ディーラーから業務用の自動車を購入しました。
その時の取引価格は1000万円。
そしてこの取引をしたA社は期末に定率法による減価償却計算を行い、その償却費を損金に算入しました。
これは一見して何も問題ないように見えますね。

◆国税局サイドの見解

しかし国税局の調査であることが分かりました。
それは自動車のディーラーがA社の代表に新築祝いという名目で300万円を送っていたのです。
そこで国税サイドは以下のような結論を下しました。
「ディーラーが新築祝いとしてA社の代表に送った300万円は自動車購入に対するリベートである。
つまりこのリベートの受け取り対象は法人が受けるべきであり、個人(A社代表)が受けるべきものではない。」
そしてこのような結論のもと、法人税の更正処分がA社に対して行われ、さらに同額を代表者に対する役員賞与として源泉徴収所得税の告知処分としました。

◆事の顛末と問題点

さてその後、以下のようなことが調査によって明らかになりました。
それは会社がディーラーに対して、購入価額に上乗せするカタチでお金を支払い、その後新築祝いと称して、300万円を不正に受け取るということをしていたことです。
つまり法人Aの代表はディーラーに対して有利な立場にいる(つまり顧客であるということ)ことを利用して、最初からキャッシュバックを目的として過大な額を払っていたということです。

これは明らかな不正工作であり、コンプライアンス以前の問題です。経営倫理に反する行為であるとも言えるでしょう。
しかしこういった取引について「自分には起きえない話」ということも誰にもできません。
というのも普通の取引ならいざ知らず、特定の特殊な利害関係者との間の取引は案外に多く、そうした場合においては合理的に判断することが難しくなることはままあるからです。

だからこそ経理や経営に携わる人間には磨かれた経営倫理と確かな税に関する知識が必要であると言えます。

今回のお話は、不動産の購入にかこつけたお金の不正な環流と不動産取得価額否認についてでした。しかし、不正な考えが自分になくても、端から見てそう見えてしまうこともあるのが、お金の関わる話であり、それが税務調査で思いも寄らぬ指摘となることがあります。

やましい点がなくとも、実際に第三者(特に国税)から見て不正がないと言い切れるように、税務調査の専門家によるアドバイス・サポートの活用をおすすめします。当事務所でも、国税・税務署OBが「税務調査の緊急医」として、税務調査対応をご支援しております。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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