税務調査対応の基礎知識

信用取引の未決済処理に関してよくある問題

信用取引の未決済の処理については頭を悩ませている経理担当者の方も多いですよね。
そこで今回は信用取引の未決済の処理について、税務調査でよく調査官に指摘される事例について紹介していきますね。

◆問題

『A社は、期末に現物株式の約定とあわせて、同一銘柄の株式の同数株・同価格の信用売付けの約定をし、さらに現株渡しによる決済の約定をした。その後、期末現在の有価証券価額の計算につき、総平均法により評価したが、税務調査にて否認された。ではこのA社が行った評価はいったいどこがいけなかったのか?』

◆答え

『信用取引による買い付けの約定と現物株式の約定に基づく有価証券の期末評価方法は異なることが原因です。』

法人は保有する有価証券について、それぞれ以下のように区分します。
 ①売買目的有価証券
 ②満期保有目的有価証券
 ③その他有価証券

そしてそれぞれに対して、以下のいずれかの方法を選んで平均単価を算出します。
 ①移動平均法
 ②総平均法

その後、算出された平均単価をもって有価証券1単位当たりの帳簿価額とするのです。売買目的有価証券は時価法であり、売買目的外の有価証券は原価法になります。
また法人の行う信用取引の方法における株式の売買は、1個の買付けと売付けを単位として個別に期末評価額を算定します。

また、信用取引の決済手段にあてられるべき期末買付株式もあります。これに関しては、期末の段階で決済期日が来ていないものは、信用取引の未決済勘定の1つとして考えられます。つまり期中に売買が完了した株式とは別個に、当該買付株式の取得に要した金額により評価します。信用取引を行った場合において、事業年度終了のときにおいて決済されていないものは「みなし決済金額」として処理され、そこで算出された額(利益または損失)益金のまたは損金に計上するのです。

以上専門用語が多くて理解が難しかった点も多かったでしょうが、以下のポイントは経理の場において役立つので、覚えておいてくださいね。
「信用取引による買付けと売付けの約定と、現物株式の約定では、有価証券の期末評価方法は違う」

なお、今回ご紹介した「信用取引の未決済処理」は、専門家に頼らず自社内だけで的確に処理できるかというと、なかなか難しいことでしょう。基本的には、コラムを元に基礎知識を得ていただき、税理士等の専門家を活用して適切な対応いただければと考えます。また、税務調査への確かな対応という観点でいえば、税理士事務所とひとくくりにせず、税務署OBなど税務調査のエキスパートを擁す税理士事務所に相談いただくのが間違いありません。当事務所でも「税務調査の緊急医」サービスとして、税務署OBを含めた税務調査対応チームがありますので、もしお困りの点があれば何なりとご相談ください。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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