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事業承継の流れと基礎知識

会社が土地を持ち代表者が上物を持っている場合の、代表者による土地購入と会社による上物購入の評価の違い①

前回、現経営者の自宅が土地は会社名義、建物は現経営者名義で借地権価格が発生している場合、将来に備えた選択肢として、現経営者個人が土地を会社から購入する方法と、会社が現経営者から建物を買い取る方法をご紹介しました。自宅は立地、画地規模、住環境等に優れ、マンション経営にも向いているといえます。ではこの2つの方法ではそれぞれ不動産をどのように評価すればよいのかを2回に分けてご紹介します。今回は、現経営者個人が土地を会社から購入する場合をみてみましょう。

◎現経営者個人が土地を会社から購入する場合

底地(借地権が付いた土地の所有権)の売買では、通常借地権が設定されている底地を第三者が購入する場合と借地権者が購入する場合で評価が異なります。すなわち、第三者が購入する場合は借地権により使用収益が制限された所有権を取得することになります。

これに対して借地権者が底地を購入する場合は、完全な所有権を取得することとなるので結果市場性は回復します。底地の所有権価格は、土地を賃貸借することによる賃貸料により構成されているとみることができます。第三者が購入する場合はこの価格が適正な価格ということができます。これに対し、当該借地権者が取得する場合には、建物およびその敷地が同一所有者に帰属することにより経済価格が増加しますので、その増分を考慮する必要があります。

○底地価格…収益価格と比準価格を関連つけて求めるものと設定されています。
○収益価格…実際に支払われている賃料(地代)から、公租公課等の必要諸経費を控除して得た額を資本還元して求めます。
○比準価格…実際の底地の取引事例を収集したものを、当該土地の地域要因や個別要因を比較して得た額をもとに算出します。

底地と借地権の併合による価値の層分とは、更地とした価格から借地権価格と底地価格の合計額との差の部分と考えられます。具体的な算定方法は複雑な計算となり、これらの取引は税務上の問題が生じることがありますので、不動産鑑定士による鑑定評価に基づき取引するのが望ましいでしょう。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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