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事業承継の流れと基礎知識

自分が住んでいる自宅の土地が会社名義の場合の「借地権価格」を踏まえた相続対策

現経営者が相続を考える時に気をつけなくてはいけないことの一つが、自分が住んでいる自宅です。土地と建物の名義、どうなっていますか?。例えば、土地は会社名義、建物は自分名義で、借地権価格が発生している場合、将来に備えてどのような選択肢があるでしょうか。自宅は立地、画地規模、住環境等に優れ、マンション経営にも向いているといえます。この場合、選択肢としては以下の2つがあります。

①現経営者個人が土地を会社から購入する場合

現経営者に妻がいて、先に現経営者が亡くなり相続が発生した場合、妻がそのまま自宅に残ることを希望する可能性が高いと思われます。しかし、夫が亡くなってから土地が借地のまま会社に賃貸料を払い続けるのは不安があるでしょう。そのため前もって土地を買っておくのがよいと思われます。ただこの場合には、会社としては土地を借地人である現経営者に譲渡することになりますので、対象土地の底地の売買価格を考える必要があります。

②会社が現経営者から建物を買い取る場合

例えば、現経営者が高齢になって生活の本拠を別に移したいという個人の要望に応えるため、または会社の安定収入を図りたいと考えることが想定されます。最近の傾向として、大きな自宅を所有している人が高齢になってくると、庭の手入れが面倒となったり買い物が便利な場所に移りたいという意向により自宅を処分してマンションに移るということが多くなっているようです。

会社としては立地、画地規模、住環境等に優れた賃貸マンションんは需要が多いので、これを建設して安定収入を図るのも選択肢としてあります。この場合、会社が個人所有である建物を買い取ることになりますが、建物には借地権が設定されていますので、譲渡価格は借地権価格に建物価格を加算したものになります。

◎どの選択が最適かを考える

もし相続を想定して妻に安住の財産を残しておきたいと思えば、現経営者個人が土地を会社から購入する方がよいでしょう。この場合土地は会社の財産ですから、借地権が設定されており借地権価格が生じていることが考えられます。そして借地人の現経営者が底地を買い取ることで土地と建物が同一所有者になるので、まったくの他人に売却する場合に比べて多少高くなる可能性があります。ただし、借地権価格が生じていればその分だけ安く買えるので、更地価格より低額になる分有利な購入となります。

今回は、オーナー経営者に起こることが多い、将来の相続を見越した会社名義の土地への居住の取り扱いのお話でした。相続においてはいかに納税額を軽減するかがすぐ頭に浮かびやすいですが、実際のところ今生活を営んでいる不動産が相続によってどんな影響を受けるか、も考慮すべき事項です。相続に関わる状況は様々ですので、どの方法をとれば生活面でも財産面でも悩みが少なくて済むかは、相続対応を豊富に積んでいる専門家にご相談いただくのが一番。当事務所でも相続対応専門機関「相続手続き支援センター」を立ち上げております。税に関するプロフェッショナルと事業承継サポートのプロフェッショナルの立場の両面からサポートすることも出来ますので、お気軽にご相談ください。


※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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