顧問契約中のお客様は、こちらよりお掛けください。担当部署直通です。クライアント様専用お問い合わせナビダイヤル042-313-8364

事業承継の流れと基礎知識

遺言等がなく法律に従って財産が相続された場合に、事業の承継に生じうる影響 ③事前の対策

前回まで2回に分けて、遺言等がなく法律に従って財産が相続された場合に、事業の承継に生じうる影響をご紹介してきました。どれも円滑な事業承継や経営に支障をきたす問題ばかりでしたよね。今回はこれらの問題が起こらないための事前の対策をご紹介します。

◎円滑な事業承継のための財産承継の方法

①現経営者の生前の売買や生前贈与

売買や贈与は、現経営者の生前に財産の移転等承継の効果を確定的に生じさせることができます。財産を移転させた後に現経営者が亡くなっても、あらためて後継者が事業用の資産を取得する手続きをとったり、そのための資金を調達したりする必要がないため、会社の経営に空白の期間を生じさせる可能性が低いと言えます。後継者が早い段階で確定すれば、この方法である程度の期間をもって対策していけばよいでしょう。また承継の経過を現経営者がしっかりと見届けたり、後継者と一緒に事を進めることができるので、現経営者としても安心感がありますよね。

②現経営者の死亡による遺言や死因贈与

遺言や死因贈与は、現経営者の死亡と同時に承継の効果が生じる方法なので、現経営者の生前はできる限り事業用資産を現経営者に保有させ、現経営者が死亡した場合に事業用資産を承継させたいというような場合にはよい方法です。後継者がなかなか確定しない場合には有効ですよね。しかし遺言や死因贈与は効力が発生するまで(すなわち現経営者が死亡するまで)いつでも変更や撤回が可能ですので、事業承継という観点から考えると不安定な方法でもあります。

③まずは早めの対策を

何はともあれ、これらの対策はできるだけ早く行うことが大切です。経営者がしっかりと対策していれば、相続人である家族等にいざこざが生じる原因にもなりませんし、会社の承継や経営も円滑に進むことができ、後継者の負担や不安も減るでしょう。しかし対策が不十分であればあるほど、円満だった家族関係に亀裂が生じたり、会社がうまく立ちいかなくなってしまうのです。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

0120-964-316