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事業承継の流れと基礎知識

「会社分割」 ~継承させたい二人の子供の両方に、会社を承継できる方法~

今回は複数人を後継者にしたい場合の「会社分割」についてご紹介します。

例えば会社を経営しているAさんは、2人の子ども(長男と長女)がいます。2人は仲が良くどちらも優秀で、Aさんは2人ともに会社を承継させたいと考えています。この場合どうすればよいのでしょうか。

①株式を分けるのは要注意!

Aさんの場合、2人の子どもに会社の株式を半分ずつ分けるというのは得策ではありません。なぜなら、会社の方針を決定する株主総会において決定権を持つためには、原則として発行済株式数の半数よりも多い株式を保有しておく必要があります。そのためそれぞれが50%以下の株式を有する兄妹間で経営方針が異なる場合は、株主総会が機能しなくなってしまいいつまでたっても決議することができなくなってしまいます。
しかしそれを避けるために、例えば長男1人に株式を集中させてしまえば、長女を副社長に就任させたとしても長女の意向を会社の方針に反映させるとができません。

②得策は「会社分割」の制度の活用

会社分割というのは、1つの会社を2つ以上の会社に分けるための制度です。会社がその事業に関して有する売掛金等の権利や、買掛金等の義務の全部または一部を他の会社に承継させることで会社を分けます。Aさんの場合も例えば、会社を分けて兄妹それぞれに分割後の会社の株式を100%ずつ持たせてやれば、たとえ兄妹喧嘩が起こったとしてもそれぞれの会社において株主総会が機能しなくなることはありません。

③「会社分割」の時期

会社を分割させるためには、分割前の会社の株式数(議決権)の「3分の2以上」による同意が必要となります。例えばAさんが亡くなって相続が発生してしまった後に会社分割をすると、どのようにして会社を分けるのかについて兄妹間でもめてしまい、結局兄妹喧嘩のタネになりかねません。会社分割をするつもりであるのなら、相続が発生してしまう前に、しっかりと分割しておくのがよいでしょう。

④「会社分割」の手続き

会社分割をするためには、会社法上分割計画書を作成したり、会社の債権者に告知したり、株主総会で決議したりとさまざまな手続きをとることを求められています。手続きは複雑ですので、まずは会社分割を取扱業務としている弁護士等、専門家に相談してみるのもよいでしょう。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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