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事業承継の流れと基礎知識

相続時に少数株主によって相続株の強制買取決議がなされる可能性がある「相続クーデター」  ①危険性

突然ですが、「相続クーデタ」ーという言葉を知っていますか?クーデターと聞くと、何だか不安を感じてしまいますよね。今回はこの相続クーデターについてご紹介します。

◎相続クーデターとは?

相続クーデターとは、会社の発行済総株式の3分の2以上株式を保有するような大株主に相続が発生した場合、100分の3以上の議決権をもつ少数派株主グループが株主総会を招集して、オーナー家の相続株を会社にて強制買取りをするというものです。相続クーデターが予想される場合は、あらかじめ対策を講じることが必要です。

◎相続クーデターの危険性

定款で相続人等に対する株式の売渡しの請求に関する規定を定めておくと、会社は相続その他一般承継(権利・義務の一切を承継すること)があったことを知った日から1年以内に株主総会の特別決議(議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上にあたる多数をもって行う決議)により株式相続人等に対して強制売渡請求を行うことが可能となります。


これは株主間の密接な信頼関係の下で成り立っている会社において、そのような信頼関係にない株主の会社経営への参加を排除することを狙いとしたものです。価格面の協議を除いて、相続人等はこの売渡請求を拒むことはできません。
しかし、この規定を定款におくことで、大株主の相続人にとって裏目に出ることもあります。大株主に相続が発生した時には、会社が相続人に相続株の売渡請求をするか否かを決定する株主総会において、相続人はその議決に関しては特別な利害を有することから、議決権がありません。そのため残存株主のみが相続人に相続株の売渡請求をするか否かを決定することができることになり、相続株の売渡請求が決定されれば残された配偶者等の相続人は株主としての地位を失うこととなります。相続人は突然少数株主からの株主総会の収集を受け、株主総会で名義株主から議題として「株式売渡請求の件」が揚げられることとなるのです。

これが相続クーデターの危険性なのです。こうならないために、次回その対策をご紹介します。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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