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決算書の作り方・ひな形

「繰延税金資産」の回収可能性は厳格に判断する必要がある

今回は、繰延税金資産についてみていきたいと思います。

繰延税金資産は、将来の納税額を減らすという意味で資産性がつけられています。とくに税務上の繰越欠損金に対して税効果会計を適用するときには、将来の納税額の減少(回収可能性)を厳格に判定する必要があるのですね。
回収可能性については、「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」(日本公認会計士協会)により、次の要件のいずれかに当てはまるかどうかによって判断することとしています。

①収益力にもとづく課税所得が十分であるかどうか
●将来減算一時差異の解消年度、その解消年度を基準として税務上認められる欠損金の繰戻しおよび繰越しが不可能な期間に課税所得が発生する可能性が高いとみられること。
●税務上の繰越欠損金の繰越期間に、課税所得が発生する可能性が高いと見込まれること。
②将来加算一時差異が十分であるかどうか
●将来減算一時差異の解消年度、繰戻・繰越期間に将来加算一時差異の解消が見込まれること。
●繰越期間に税務上の繰越欠損金と相殺される将来加算一時差異の解消が見込まれること。
③タックスプランニング
将来減算一時差異の解消年度、繰戻・繰越期間または繰越期間に含み益のある固定資産や有価証券の売却など、課税所得を発生させるタックスプランニングが存在していること。

◎繰延税金資産と繰延税金負債の確定、会計処理について

繰延税金資産、繰延税金負債の額が確定したら、申告書の作成と会計処理を行いましょう。
繰延税金資産と繰延税金負債は、貸借対照表の、資産または負債に計上します。

賞与引当金の限度超過額や固定資産の減価償却超過額など、特定の資産と負債に対して生じる繰延税金資産、繰延税金負債がありますが、これらは資産と負債の属性に従って、流動・固定に区分します。賞与引当金は流動負債の部に計上されているので、これに対応する繰延税金資産も流動資産に計上されることになりますね。

また、特定の資産負債に対応せずに発生するもの、たとえば、税務上の繰越欠損金があります。これに対応する繰延税金資産のうち、翌年の事業年度中に回収が見込めるものは流動資産に、それ以外は固定資産の部の投資その他の資産に表示します。

なお、繰延税金資産と繰延税金負債が生じた場合には、流動・固定の区分にしたがい、相殺して表示することになります。

※繰延税金資産には、分配可能額計算での控除がありません。つまり厳格な回収の可能性の判定を行っていれば、資産性が十分あり分配可能額を公正すると会社法でも認められています。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

0120-964-316