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決算書の作り方・ひな形

「退職給費引当金」と「退職給付債務」の計算・処理方法①

今回は、「退職給付債務」と「退職給付引当金」の処理についてみていきたいと思います。

平成14年度の法人税法改正によって、退職給与引当金制度が廃止され、その時点で税務上の退職給与引当金が残っていた中小法人では、10年で取り消すことになりました。このため、税法基準で決算を行っている中小企業の場合、退職給付引当金はほとんど設定されていないということになっています。
ただし、従業員の退職金規程があり、退職を起因として退職金を支払う場合には、会計上では、当期の負担額を見積り、引当金として負債計上することとなっています。これが「退職給付引当金」にあたります。

◎退職給付債務の計算方法について

社員の労働の対価として、会社は給与や賞与を支払いますが、これらとは別に、労働の対価の一部を退職するときに退職金などとして支払う場合があります。退職金規定によれば、「○年勤務すれば基本給の●倍を支払う」と定められています。退職金は、労務の対価に対し後払いという性格をもっており、期ごとに会社の負担が増加していきます。しかし、社員の退職があるまでに、具体的な支出はされないことになります。
退職した場合に、退職金がどれだけ必要かを計算し、現在価値に割り引いて計算するわけですが、その過程では、死亡率などを加味するなど、保険数理の計算が必要とされています。具体的には、保険数理人に退職給付債務などを計算してもらいましょう。

◎中小企業の特例計算について

退職金規程があり、それに基づいた退職金を支払っている場合には、「退職給付引当金」を計上しなければなりません。また、退職給付債務の計算には、年金数理計算も必要になってきます。
しかし、退職給付に係る会計基準においては、原則として社員数300人未満の中小企業に対しては、「期末自己都合要支給額基準」が認められており、中小企業会計指針でもこの考え方を踏襲しています。

つまり、退職金規定のある中小企業の場合、退職金規程に基づいて、期末時点で社員が自己都合により退職した場合の退職金はいくらになるかを算定。社員全員の退職金を合計して退職給付引当金を計上することができるというわけです。
また、退職金規定がなくても、退職金を支給した実績があり、将来の退職金の支給見込みが高く重要性があれば、退職給付引当金を計上する必要があるとされています。つまり、引当金計上額は法人税申告書の上で加算し、引当金を取り崩して退職金を支給したときには、申告書の上で減算するということになりますね。

※記事に含まれる法令等の情報は、記事作成時点のものとなります。法令等は随時変わる可能性がありますので、本記事を実務に生かされる際には最寄の税務署か税理士へ確認してください。

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